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168 名前:2-683 霞[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 07 57 22 ID G9FxYqM2 今の時間は、どうなっているだろう。 どうでもいいか。 深い夜である事は分かる。執務を再開できる気分ではない。 今の自分は砂嵐が吹き荒れる心情にあったからだ。 蹴飛ばしたい衝動を抑え、執務室の扉を開けた。 秘書艦霞はずっと待っていたのか否か私をぞんざいに出迎えた。 霞は普段通りの気を緩めない顔でいるが、私は普段通りの精神状態ではないのだ。 今は霞と口を利く気分ではないのだが、霞からすればそれは関係のない事だろう。 大本営に呼び出された今日の事柄を霞に尋ねられ、私は全てを語った。 この鎮守府が設立されてから目立った戦果がない事を糾弾された事。 艦の犠牲を躊躇しない他の鎮守府を引き合いに出された事。 大本営のその身勝手な態度に、自分は首が飛びかねない程の危ない態度で応戦した事。 それら全てを聞き終えた霞は、私を見上げて歯向かって来た。 「はあ? それで逆切れ? だらしないったら!」 逆切れ? だらしない? 霞の怒号が疲れた身に染みるが、私は霞の言葉を頭で反芻した。 霞の辛辣な言葉は聞き慣れていると自負している筈だが、気が立っている所為なのか稚拙に口が動く。 上の価値観が狂っているから自分はそれを然るべき在り方へ導こうとしただけだ。 それなのに自分が間違っていると言うのか? 霞はあんな事を言う上がおかしいとは思わんのか? 霞は私に、そんな上の人間の犬になれとでも言いたいのか!? 自分は自然と声を荒げていった。 しかし霞は一蹴するように鼻で嘆息した。 「上の人間が発言力のない司令官の戯言を聞くと思ったの? それに、これで左遷でもされたらやり方も何もなくなるでしょ。 そんなことも考えられないんじゃクズ司令官は犬同然よ。馬っ鹿みたい」 ……何だと。 もう駄目だ。我慢ならん。 自分の周りには味方がいないようだ。 秘書艦にさえ自分を否定されたこの時、蔓延っていた黒い感情は爆発してしまった。 全く、上官に向ける言葉とは思えない。霞にはお仕置きと調教が必要のようだ。 霞を蹂躙してやりたい、そのような生意気な口を二度と叩けないようにしてやりたい。 この泥々とした感情を抑えられそうにない。 「っな!」 霞の手をひったくるようにして薄暗い自分の私室へ連れ込む。 邪魔者が入らないよう後ろ手に鍵をかけると、霞はその目に警戒心を色濃く表した。 霞には無意味かもしれないが、目をなるべく鋭くさせて威圧するように見下ろす。 抵抗出来ないよう霞の両腕を痣が残らんばかりに掴んだまま追い詰め、やがて寝具へ押し倒した。 「私に当たる気?」 霞は素行を改めない。 予想は出来ていたが、全く威圧出来ていないようだ。 もしくはこれからされる事が分かっていないのかもしれない。 自分はボタンが破損する事も躊躇わず霞の上部装甲を力尽くで開いた。 その中にある青緑を基調とした装甲をたくし上げると、慎ましいタンクが二つ露わになった。 それの片方を右手でむんずと掴む。 「っ……」 予想に反して霞は大声を上げるどころか唇を硬く閉ざした。 しかし仮に大声を上げたところでここは奥まった提督の私室だし、 ここを出た執務室の壁は防音効果もあるので誰にも聞こえる事はなかろう。 通りすがりの者に聞こえやしないか気を割く必要もない。 目前の霞に集中する。 自分の右手にすっぽり収まる程度の慎ましいタンクは張りが強いのか少々硬めだ。 だが、硬かろうが柔らかろうが自分がこうして昂る運命は変わらなかっただろう。 見た目は人間の少女そのままなのだ。背徳感を煽られる。 目を尖らせる霞の意思は"屈してなるものか"と言う歴戦の勇士のものだろうか。 そんな態度を取るならば、此方としても更に張り合いがあっていいと言うものだ。 空いている左手を口元に持ってきて指を舐ると、それを霞の下部装甲の、またその奥の装甲に潜らせる。 ぴったりと閉ざされている霞の艦内へ、舐った中指をぐりぐりとねじ込む。 「いっ……!」 当然だが霞の艦内は一切濡れていない。 それを見越して指をあらかじめ舐ったのだが、あれだけでは摩擦率の大幅な改善は見込めない。 別段太くない自分の指を一本入れただけなのだが、霞の艦内はとても狭かった。 私の中指を異物と察知して懸命に押し出そうとしてくる。 私はそれに抗うように小さいながらも指を前後に動かす。 この時点で霞の両手は私の束縛から解放され自由になっているのだが、 何故か霞は寝具にしがみついて耐えるだけだった。 おい。痛いだのやめろだの言ったらどうなんだ。抵抗しないならもっと痛い事をしてしまうぞ。 しかし霞は一向に抵抗しようとしない。 霞は今一体何に束縛されているのだろう。 私は霞から両手とも離し、冷めた目で霞を見下ろし、ズボンのファスナーを悠々と下ろした。 自分の動きは慢心と言える程に無防備なものだが、そんな私を霞は鋭い目付きで見上げるだけだった。 霞の下部装甲を捲り、白い装甲を外す手間を惜しんで横にずらす。 「……ひ、ぐ……、っは、ぁっ……!」 慈悲などなしに主砲を突き入れると、霞は声になっていない悲鳴を上げた。 歯を食い縛ったり酸素を求めたりと忙しなく口を開閉させている。 それにしても狭い。きつい。 ふと目を落としてみれば、結合部からは明らかに赤い液体が滲み出ていた。 おいおい。見た目人間のようだと思っていたが、これでは完全に人間ではないか。 霞の血を見て自分の頭から血が引きかけたが、今更やめる選択はない。 全ての鬱憤をこの小さな艦体にぶつけるべく、無理矢理自分を突き動かす。 霞の艦内を何度も力任せに押し広げる。 最早血を潤滑剤とする事で動かす事が出来ている有様だ。 「っ! ぅ、ううっ、ぎっ……」 嗚呼、だが気持ちいい。 小さく無垢な身体を蹂躙すると嫌でも滲み出る背徳感が、征服感が、酷く快感を煽る。 痛い位に、絞るように締め上げる霞の中が、気持ちいい。 一方瞼まできつく閉じ懸命に耐える霞に、真上から影を落として罵詈雑言を浴びせる。 ほら、痛いんじゃないのか。苦しいんじゃないのか。やめて欲しいんじゃないのか。 抵抗してみろ。霞から届く距離にある屑司令官の頬を張ってみろ。霞なら出来るだろ。 出来ないのか? 上官を粗末に扱う何時もの高慢な威勢はどうした!? 何か言ってみろ!! 「……めよね……」 あ? 「惨めよねっ……!」 自分は思わず動きを止めてしまった。 霞は、どこまでいっても霞だった。 外部から駄目出しされて憤慨する自分と、気にも留めない霞。 頭の螺子が飛んだ自分と、ボルト一本抜け落ちなかった霞。 勝手に征服感を感じていた自分と、己を睨み続けた霞。 己を見失った私を、蔑む霞。 "惨め"と言うのが一体誰の事か等、考えたくもない。 「この、どうしようもない、クズ……!!」 霞の目には変わらぬ強い光があった。依然鋭く睨みを利かせてくる。 何故、挑戦的な目を向けてくる? 何故、ここまでされて屈しない? 何故、冷めた目をしていない? 「っ、……!」 自分は目を痛い位瞑って腰を慌ただしく動かし始める。 霞の底知れぬ何かを見、途端に恐怖心を抱いた。 霞の艦内を乱暴に抉って快感を得ようとし、と言うより、射精感を促してゆく。 逃げ道を作る為に、突く。突いて突いて突いて突いて……。 「め、目を見なさっ、この、クズっ……!」 「っぐ……!!」 黙れッ!! 「んんっ!! んや、ぁぁああ……!!」 歯を食い縛り、鬱憤を霞の最奥に掃いた。 暫し肩の荷が吹き飛んだような、ついでに螺子もまた数本吹き飛んだような感覚に支配される。 だが鬱憤を全て射撃し終えた頃、自分は糸が切れたように意識まで吹き飛んでしまったのだ。 …………………… ………… …… 今の時間はどうなっているのだろう。 目覚ましの音を聞く前に目覚めてしまった。 ……夕べの自分は随分と卑猥且つ下劣な夢を見たようだ。煩悩でも溜まっているのかもしれないな。はっはっは。 等と笑っている場合ではない。 その記憶の正体が夢であるならば、昨日自分は何をしていた? 開発、演習、遠征、執務、大本営に呼び出され、駄目出しされ……。 「…………!」 勝手に夢にするな。全て現実だ。 自分は、取り返しのつかない事を……。 いや待て。それなら自分がこうして服装の乱れ一切無く寝具に包まれている筈がない。 軍服のまま眠る習慣はないのだが、多分昨日の疲れでそれすら覚えていないんだろう。 起き上がって時計を見れば、起床時刻前だ。 随分と疲れが抜けた体は良い目覚めだろうが、精神的にあまり良い目覚めでないのは何故だろうな。 起き上がって私室を出ると、執務室中央のテーブルを囲うソファに、霞が腰掛けていた。 「おはよう」 「……おはよ」 霞は私の挨拶にも短くだが応じた。 ちらりと一瞥だけでもくれる霞は何時もと変わらぬ様子に見えた為、自分は安堵した。 やはり昨日のアレは、夢だったのだ。 霞、食堂へ行くぞ。 「もう食べたわ」 もう食べた? なんと早い。 起きるのは私より早くてもいいが、食事位は共にしたいぞ。 しかし過ぎた事を求めても仕方が無い。零れた水は盆には帰らない。 霞は執務を進めると言うので、お言葉に甘えてテーブルに少しの紙の束を置き、自分は食堂へ向かった。 朝の身支度も終わり、その後は自分も執務を進めようと戻った。 その頃には霞は私が提示した少しの執務を全て掃いてしまっていたから優秀だ。 それから暫くは自分の分の執務を進めていたのだが、妙だ。 "ちょっとぉ! この大事な時に艦隊を待機させるって、どういう事なの? ねえってば!" 今日の霞ときたら、いつまで経ってもこのように此方を急かそうとしないのだ。 どうしたかと悟られぬようにソファの霞に視線を向け様子を探る。 ソファに腰掛ける霞は膝上で小さく拳を作り、やや俯いたまま何処も動く気配がない。 おかしい。能動的な霞としては異常だ。 いや、能動的云々の前に像のように微動だにしないので機能停止していないか心配だ。 「霞!」 「っ、……何よ」 良かった。振り向いてくれた。機能停止してはいない。 いないが、反応が普段より遅い。寝ぼけているかもしれない。 自分は執務を取り止め、霞の手を引こうとした。 霞、少し運動しに行くぞ。 「え、う、嘘でしょ、いっ! たぁ……!」 「霞……!?」 自分はそれ程力を入れていない。 霞を立ち上がらせようと霞の手をくいと引っ張り上げただけなのだ。 しかし霞は、立ち上がったはいいが歩く事すらままならずその場で倒れこんでしまったのだ。 自分は咄嗟に屈んで霞を受け止め、床との衝突を回避させた。 だが、霞が苦痛に喘いで下腹部を抑えて蹲るその様子は、自分に良くないものだった。 脳裏に蘇る、夕べの記憶。 自分は霞を座らせ直してから、床に跪いた。 「霞、昨日はすまない……!」 「……思い出したようね」 最初から忘れて等いない。夢だと思い込んでいただけだ。 どうもおかしいと思っていたが、合点が行った。 自分の推測で補完すれば、霞は私が疲労で意識を失ってから後始末を行った。 動くのが困難になった霞は、このソファで眠りについた。 起床した私は忘れていると思い、食事もせずひた隠しにしようと嘘をついた……。 霞、何故責めないのだ。 霞を傷つけたのだ。 この罪はどうやっても償えない。 そうだ。せめて。 「責任を取って切腹を……」 「やめて!!」 私の自責の念は、霞の悲痛混じる大声で遮られた。 思わず顔を上げる。 霞は、見た事もない程顔にその感情を滲ませていた。 「あ……、なんでもないわ」 何故そんな事が言えるんだ。 何故撤回しようとするんだ。 霞は目を逸らして一つ咳払いをしてから、跪く私の目を覗き込むように顔を近づけた。 もう普段通りの吊り目が顔に作られていた。 「馬鹿でしょ。クズ司令官が死んだところで私にした事は消えないし、それに、他の艦の事はどうするのよ」 私より軍に向いているであろう士官なんかごまんといるだろう。 こうして艦娘に当たる自分よりマシな人間が後任に就く可能性は高いはずだ。 それに、死ねば消えると思って言っているんじゃない。 「責任取るって言うのなら、ちゃんと取りなさいよ。死ぬのは逃げの一手にしか見えないから」 それは……。 そういう考え方もできる。 私は納得してしまい閉口せざるを得なかった。 少しの沈黙が流れた後、霞は静かに口を開いた。 「昨日の話だけど、私は、あんたのやり方は嫌いじゃないわ。 私は別に、上の人間に従えって言ってるんじゃないの。 あんたはやり方が悪いんじゃなくて、やり方に見合った実力が足りてないだけ」 「だから、今は黙って私について来なさい。ガンガン行くから」 霞は、よく注意して見ないと分からない程度だが、私には笑っているように見えた。 嗚呼、優しさが身に染みる。少し優しさが過ぎるんじゃないか。 何故そこまで前向きに考えられるんだ。 全く、秘書はこんなにもできた艦なのに、昨日の自分は本当に何本螺子が飛んでいたのだ。 思えば、昨日の霞は単に私を励まそうと、慰めようとしていたに違いない。 自分が勝手に曲解して一人で暴れて霞をとばっちりに合わせただけなのだ。 阿呆だ。海軍軍人最大の阿呆だ。 そんな自分の部下である筈の此奴はこうも変わらず偉そうな口を叩くが、 実際それに見合った実力があるのだ。私とは違うのだ。 最早ついていけるか不安もあるが、ついて行ってやる。 霞らしくなくなってしまうから、待っていろ、とは言わない。 今は霞の背中を追うが、やがては追い付いて肩を並べ二人三脚が出来るくらいまで成長し、 あの憎たらしい大本営に勲章を出させてやるのだ。 私の戦いはまだまだこれからだ! 「司令官、何故今日は霞を負ぶっているのですか」 おはよう朝潮。 いや何、霞は昨日の夜戦で被害を受けてしまってな。 自身では動けないと言うからこうする事で秘書艦と行動を共にしているのだよ。 「ええっ! 霞は大丈夫なんですか!? それなら修復ドックに……」 修復ドックでも治せないんだ。しかしこうして私の背中にいればそのうち治る。 私の背中は特別な修復ドックでもあるのだ。すごいだろう朝潮。一隻限定だぞ。 「へぇー……!」 「朝潮、嘘だから真に受けないでよ」 違うと言うのか。 ならこの背中を降りて修復ドックに浸かるか? この問い掛けに、霞は返事をしなかった。聞こえていない振りか。 こうして私に身を委ねる霞の今の心境は如何ほどのものか。 きっと吐露しようとはしないだろう。 しかし、吐露してくれなくても分かる事はある。 霞は私の首に腕を巻き付けつつも、首が絞まらないように気遣ってくれている。 人の背中に体を預ける以上それは当たり前の事なのだが、 私に身を預ける事に何ら抵抗を示さないだけでも霞は私の事を蔑ろに思ってはいないと言う事だ。 私も吐露はしないが、昨晩あんな事をして置きながら態度を変えない霞が今は愛おしくてたまらなかった。 霞の嘆息をうなじで受けながら、私は霞と朝潮と共に食堂へ向かう事にした。 「あーもう、司令官が出来損ないのクズだと苦労するわ……」 177 名前:2-683[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 08 02 55 ID G9FxYqM2 以上 15-188の続きみたいなもんで 霞好きな人を増やしたい 霞だって可愛いところはあるのよ 178 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 08 28 19 ID TKrX5a/c GJです! 179 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/02/22(日) 10 35 55 ID Kw92rUww GJ。 霞は最近もっとあの隠れ面倒見の良さとか振り返られていいと思う これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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コン……コン。 控えめなノックが、執務室に漂う夜の静寂を打ち破った。 「入りたまえ」 僕は努めてぶっきらぼうに、ドアの向こうの気配へと声をかける。 「て、提督、失礼……します」 おどおどした様子のひとりの少女が、月明かりだけが照らす執務室の扉を開いた。 「い、磯波……です。ご、ご命令により……出頭いたしました」 消え入りそうな声で彼女は名乗り、執務室の入り口で敬礼をした。 僕が黙って頷くと、磯波は真鍮のドアノブを回し、静かに扉を閉めた。 しばし僕は、青白い月の光に浮かぶ磯波の姿をしげしげと観察する。 穏やかな波間を思わせる、三つ編みの黒髪。日々、遠征の任に駆り出されながらも白さを保つ若々しい肌。 膝より少しだけ高い、吹雪型のセーラー服から垣間見える、柔らかそうな太腿――。 普段彼女が足を踏み入れることも、いや、直接的に話したことさえも殆どない僕の部屋に 招かれた彼女は、いつにも増して小さく、儚く見える。兵装が完全に解かれている今は尚更だ。 現に、この部屋の中にいるのは磯波と僕だけだというのに、彼女は一向に僕と目を合わせようとしない。 照明が完全に落とされた執務室の中、磯波の長いまつ毛の奥にある瞳は、内股に寄せられたブーツへと 所在なさげに落とされたままだ。 ふぅ、と僕が大きくため息をつくと、それだけで磯波は細い肩をぴくっと躍らせた。 それでも僕は黙ったまま、磯波に更に視線を注ぎ込む。 「……ぅう」 磯波は、吹雪型が揃って纏うセーラー服の胸元の紐をいじりながら、チラチラと僕を見た。 僕からの一言を引き出そうと、必死のようだった。 海から吹き込む穏やかな風が窓から吹き込み、白いカーテンを揺らす。重たい空気の中、 時が確かに進んでいることを示すかのように。 だが、それでも僕は革張りの椅子に深く腰をかけたまま、彼女をじっ……と見つめたままだ。 磯波は、震えているようにさえ見えた。 「あっ……あのう……提督」 部屋の隅と僕の間を、まるでげっ歯類の動物のように素早く、しかし居場所なさげに視線を 揺らしながら、磯波がようやく唇を開いた。 「磯波に……何かご用でしょうか?」 彼女がこの鎮守府に配属されて2週間。僕は初めて、その声をまともに聞いたような気がした。 それは、本当に女の子らしく、か細く……そして消え入りそうな声だった。 仮に月が雲に隠れていて、磯波の実体が目の前に映し出されていなければ、耳に届いてさえ いなかったかもしれない。 磯波はそれ程までに控えめな声で、ようやく言葉を口にしたのだった。 僕はその声の余韻を耳に感じながら、彼女を手招きする。 部屋に入ってからというもの、一歩たりとその場を動かなかった磯波が、ようやく小股で 執務机へと近づいてきた。しかし絨毯が敷いてあるとはいえ、足音がほとんどしない。 意識的に音を殺しているのだとすれば、どれだけ自分に自信がないのだろうか。 ――もっとも、僕が彼女をこの部屋に呼んだ理由は、まさにそれなのだけど。 磯波は思った通り、執務机の前にたっぷり1メートルの間を取って、僕の正面に立った。 僕からは机を挟んで、ほとんど2メートルも離れていることになる。 「はぁ……」 予想はしていたことだが、僕は思わず2度目のため息をつき―― 「磯波?」 ようやく彼女の名前を口にした。 優しく名前を呼んだつもりが、彼女は身体を強張らせ、両目をぎゅっと閉じてしまった。 言い訳もできず、叱られるのを待つだけの子供のようだ。 「自分がどうしてこの部屋に呼ばれたか、分かっているかい?」 首を縦にも、横に振るでもなく、ますます磯波は体を小さく、固くしてしまう。 僕はほの暗い中、デスクの書類受けに手を伸ばした。 「磯波、配属されてどれくらいになった?」 「えっ?」 「二週間だ」 忠実な秘書艦娘が纏めた数枚のレポートをぱらぱらと捲り、そのうちの一枚を彼女の方へと差し向ける。 「見たまえ」 磯波はまるで危険な生き物にでも触れるかのように、コピー用紙におどおどと手を伸ばす。 暗闇の中では読みづらいのだろう、柔和そうな垂れ気味の目が細められ、書類を走った途端―― 「あ……ぅ……!」 磯波は驚愕とも恐怖ともつかない顔になり、そのまま硬直した。 「それは君の、ここ二週間の成績を纏めたものだが、見てのとおりだよ。残念ながら 、先輩諸氏のような戦績を残せてはいない。遠征にしても、作戦にしても、だ。分かるね?」 「は……はい……」 磯波はがっくりと肩を落としたまま、細い首を小さく縦に振った。 「同じ吹雪型と比較すると、なおのこと顕著だ。どうしてこんなに差が出るんだろうな? ん?」 月明かりのせいでなく、磯波の顔は、真っ青だった。 「あのっ……あの、提督……!」 磯波はレポートを持つ両手を強張らせながら、何かを伝えようと必死だった。 「これは……そのっ、私……」 「それに聞いたところによれば、何度か他の艦娘と衝突しかけたとか?」 意見しかけた磯波を、僕はより強い言葉で一蹴してやる。 「その衝突が原因で隊は陣形を乱し、結果的に燃料と弾薬を海中に失ったそうじゃないか……」 磯波は口を開いたまま、自分の意見を完全に失っていた。息をするのさえ忘れていそうだった。 「あの日は悪天候だったからな。遠征の報告書には、荒天に伴う高波の影響で物資を消失した、 とされていたよ。正式な報告書には、君の不始末はひとつも上がってきていない。言った通り、 あくまで『噂』だ」 磯波は魂が抜けたような、愕然とした表情のまま、何も映ってはいないであろう瞳をレポート用紙に 落としている。提督である僕と会話していることさえ、否定するかのように。 「だが、君の成績を見るにつけ、一度直接に確認しておかねばと思ってね。磯波、衝突は真実か?」 答える代わりに磯波は、よろけるように半歩、後ろに下がった。 「どうした磯波、答えたまえ」 「……う……わ、わた……」 「磯波! はっきり答えたまえ!」 焦れた僕は、少しだけ語気を荒げ彼女の言葉を再び遮った。それだけで―― 「くぅ、 う……」 どこまでも静まり返った部屋に、たっ、たっ……と、絨毯に雫が落ちる音が響いた。 磯波の、涙だった。 磯波は薄い唇を噛みしめ、必死に涙を堪えようとしている。しかしその意志とは裏腹に、 熱い雫が白い頬に幾重もの軌跡を描いては、カーテンを透かす星の光に輝いた。 「それが貴艦の答えか、磯波?」 僕は椅子から立ち上がると、磯波の方へとゆっくり近づいていく。 「その涙が、僕に対する答えだというんだな?」 静かな僕の怒声に、ひんっと磯波が子犬のように鳴いた。 そしてまるで磁石の同極のように、僕が近づいた分だけ離れようとする。 だが、逃がすつもりは毛頭ない。 「どこへ行くんだ」 磯波の細い手首を、僕はがっしりと掴む。 「いや……あっ!」 磯波はレポートを取り落とし、僕から逃れようと顔を背けた。 「その涙が何で出来ているか、分かって泣いてるのか! 答えろ磯波!」 「うぅっ、は、放してぇ!」 「貴艦が目からこぼしているそれは、何だと聞いてるんだ、僕は!」 抵抗しようとする磯波の手を振り払い、僕はもう片方の手で磯波のきれいに編み込まれた おさげを掴み、容赦なく引っ張った。 「きゃあぁぁ!?」 磯波の悲鳴と散らした涙がきらめいて、暗黒の絨毯へと吸い込まれていく。 「提督ッ! うあっ、痛い、いたいですぅっ!」 「まだ『無駄』にする気か、その涙を、あぁ?」 悲鳴を上げるのも構わず、僕は磯波の小さな耳を引き寄せて、息さえかかるであろう距離で言い放つ。 「貴艦が流しているそれは、戦列を同じくしている駆逐艦娘達が運んできた『燃料』だろうが!?」 抵抗する磯波の体から、ふっと力が抜けたのが、良く分かった。 「日々危険な海域を掻い潜り、やせ細る兵站を何とか維持しているのに……何だ貴艦は? 燃料一滴持ち帰れもせず、ロクな戦果も無いくせに、のうのうと補給まで受けて、更に無駄遣いか!」 返事がない中、「ふっ」と僕は小さく鼻で笑い、もう一言。 「磯波……我が鎮守府はね、常に逼迫しているんだよ。燃料も弾薬も……それに鋼材も」 力の抜け切った磯波の腕を放し、僕は頬を伝う涙を指で掬った。人間のそれと同じく、熱い。 「この涙さえ、一滴も無駄にはできないんだぞ?」 言って、朴は磯波の雫を口に含んで見せた。 塩辛く、ほのかに甘い味が舌に広がり、消えた。 「常勝無敗、そんなもの僕は端から求めていやしないさ。だがね、子供のお使いにも劣るような 近海の輸送任務も果たせず、あまつさえ味方に損害を与えてしまうような艦は……僕の手には 少々余ってしまってね」 「あ……あ、ぁ……」 「君の処遇は、試験運用期間の終わりを待つまでもなく決まりそうだ、磯波。貴艦の意向は既に伺ったしな」 「え……?」 顔を背けたままの磯波が、怯えきった表情で僕を見つめた。 「わたし……まだ、何も」 「何を言ってるんだ、貴艦は。僕は確かに『聞いた』よ?」 磯波の細い肩にぽんと手を突き、僕は笑顔で首を横に振った。 「僕の質問に対して、磯波。貴艦は無言だった。即ち衝突の一件は申し開きの余地無し、と。そうだな?」 ただでさえ青白かった磯波の顔から、さああっと音を立てて血が引いていった。 「ち、ちが――」 「磯波、貴艦は最期に正しい判断をした。衝突した艦を修理するために、自ら一肌脱いで――」 「だめっ……提督! い、嫌……いやあぁ……ッ!」 僕の最後通告は、磯波のか細い悲鳴にかき消された。 硬直したままだった磯波の身体が急にがくがくっ! と震えたかと思うと―― ぽたっ、ぱたぼた……っ。 スカートの下から漏れ出した雫が、絨毯に染みを広がらせていく。やがてその波は勢いを増し―― しゅわああ、あああ……。 あふれ出した温かな金色の流れが、湯気を上げながら絨毯へと降り注いだ。 太腿にも幾筋もの細かな流れが至り、紺のハイソックスをしとどに濡らしている。 「うぅっ、うううう~ッ……」 磯波は絶望とも、解放ともつかない声で呻いた。きつく閉ざされた瞼の間からも、まだ涙が溢れている。 僕がおさげを放してやると、磯波は自分の作った水たまりの上に膝を折りへたり込んだ。 まだ全てが出切らないのだろう。細い肩を震わせ、磯波は両手で顔を覆い、すすり泣いている。 「ふっ、何だ貴艦は。燃料タンクにも欠陥があるのか?」 たった今、体を離れたばかりの生暖かく、そして若々しい磯波のにおいを吸い込みながら、僕は笑う。 「貴艦の姉さん達が聞いたら、さぞ悲しむだろうね。それこそ姉妹などとはもう――」 「いゃ……です……! て、と……く……!」 磯波は顔を覆っていた両手で濡れたスカートの裾を握りしめ、僕を食い入るように見つめていた。 「提……督……! 磯波の、お願いです……!」 そして涙に揺れる瞳に、ありったけの哀願と崩壊寸前の理性を浮かばせ、 「か、解体だけは……どうか……許してください……! えぐ……ひうっ……うぅぅ……」 何とかそれだけを言い切ると、磯波は天井を仰ぎ、静かにすすり泣き始めてしまった。 「すんっ……まだっ、まだ、磯、波は……うあぁ……あぁ……ぁぁ……」 僕の乱暴な扱いに抗ったからだろう。セーラー服はすっかり着崩れ、さらけ出た肩が夜風に震えている。 月夜に照らされながら細い顎を上げて涙にくれる磯波は、船首をもたげて静かに沈んでいく軍艦を思わせた。 磯波は、完全に堕ちかけていた。このまま放っておけば、手を下さずとも次の作戦あたりで 沈むかもしれない。 静かに彼女が朽ち果てる姿を見ていることもできる。だが、僕はそうはしなかった。 ――そうしては、意味が無いのだからね。 「磯波……解体は、嫌か?」 磯波はうっすらと黒い瞳を開き、言葉を知らぬ子供のようにこくっと頷いた。 まだ、魂は生きているようだ。そこは艦娘、歴戦の軍用艦の名を引き継ぐ少女達である。 「そうか……だが磯波、僕は貴艦を今のまま運用することはできない。故に『改造』する」 「かい、ぞう?」 「あぁ、そうだ」 言いながら、僕は磯波の前にしゃがみ込んで視線を同じくした。 「磯波……人にも艦にも、『向き不向き』がある。僕は貴艦らのようには戦えない。しかし、 貴艦らを率い、深海棲艦に立ち向かう術を与えることはできる。『適材適所』とでも言おうか」 「はい……」 磯波は時折しゃくりあげながら、涙声で応じる。僕はゆ磯波が落ち着くのを待ち、続ける。 「磯波、君は艦娘ではあるが、今はたまたま、戦いに『向いていない』だけかもしれない。 ならば、貴艦は生まれ変わらねばならない。貴艦が建造され、進水され、この鎮守府に就役した ことに、意味を持たせる。それは貴艦を『改造』する事のみによって成し得ることだ。分かるね?」 「は、はい……!」 磯波は若い。蒼白だった頬に血色が戻り、何も知らない子供同然の瞳に、月と星の光が再び 差し込んでいる。暴れて着崩れたセーラー服の奥で止まりかけていた心臓が強く動き出して いるのが手に取るように分かった。 僕はよし、と小さく頷く。 「磯波、では早速だが、改造の儀式に移る。深呼吸して、息を整えろ」 「はい、提督!」 磯波は袖で顔を拭うと、言われた通り、二度、三度と胸を開いて大きく息を吸い、少しむせながら 吐き出した。 「よおし、いいだろう」 僕は人差し指を柔らかな磯波の頬に寄せ、拭いきれなかった涙をそっ……と掬い取る。 そしてその指を、ゆっくりと磯波の鼻先へ。 「磯波……目を離すな。僕の、貴艦の提督の、人差し指から」 「はい……」 磯波の黒目がちな瞳が、しっかりと、僕の指先を捉えている。 「貴艦を改造する第一歩、それは、貴艦自信をよりよく知ることに他ならない」 「はい……」 僕はその視線を試すように、ほんの僅かに指を右へ、左へと動かしながら、静かに囁く。 「磯波、僕はこれからひとつ質問をするが」 「はぃ」 「貴艦はその答えを、もう知っている。僕は既に、貴艦に答えを与えている。磯波……いいね?」 「は…………ぃ」 極度の集中からか、磯波の表情は虚ろになりつつも、その唇は既に僕がこれから命じようと してることを鋭敏に察していた。 僕は磯波の正中で、ぴたりと指を止め、問う。 「磯波……貴艦の身体から零れた『これ』は、何だ?」 磯波は答えるよりも早く、そっと唇を開き―― 「んっ……」 僕の指を、優しく暖かな口の中へと運んで、ちゅぱっと涙を舐めとった。 「ん……ふっ……。『これ』は、皆が運んでくれた……燃料、です……提督」 「良い娘だぞ、磯波」 優しく頭を撫でてやると、雲間を抜けた月の光が、ふっと強まった。 カーテン越しに届くその静かで鮮やかな白に照らされた磯波の表情を見て、僕は少し驚いた。 磯波は、笑顔を浮かべていた。 「あ、ありがとうございます、提督……」 思わず細められた磯波の眼から、悲しみや恐怖とは違う涙がこぼれる。 「おっと、磯波?」 「も、申し訳ありません……れろ……んちゅ」 咄嗟に僕が手で受け止めたそれに、磯波は躊躇なく滑らかな舌を這わせ、丹念に舐め取る。 「は、初めて……だったので、つい」 「何がだい?」 「そのっ、提督に……褒められたのが」 磯波は僕の手を取ったまま、はにかむように小さく、口もとだけで笑った。 瞳からまた涙がこぼれるのを防いだつもりだったのかもしれない。 ――成程、健気で……想像以上に早い『仕上がり』だな。 「磯波……!」 次の段階の到来を感じた僕は、へたりこんだままの磯波の足元へと手を伸ばした……。磯波ちゃん×提督6-853に続く
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非エロ:提督×大鯨13-470「お・し・か・け 幼妻大鯨ちゃん」 提督×大鯨15-160「ド・キ・ド・キ 幼妻大鯨ちゃん」 505 名前:幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2014/12/25(木) 19 39 31 ID XinNt83E [7/19] クリスマスプレゼントという事で、もう一つ投下します 幼妻大鯨ちゃんシリーズの続編です 今回は非エロな上にローカルなネタ多数で 気象状況などで現実にそぐわないものもあります また、この話はフィクションで、 実在の団体や地名、イベント等とは一切関係ございません NGワードは『幼妻大鯨ちゃん』でお願いします クリスマスは恋人と二人きりで過ごす日だと思われているが、 本当はイエス・キリストがこの世に生まれた日を祝う降臨祭、 ある意味でキリスト教徒による壮大な誕生会みたいなものである。 しかしそういった事とはあまり関係が無い日本人でも… いや、日本人だからこそ何かに託けてイベントをするのだろう。 バレンタインもハロウィンも、日本ではどれも商業的なものに利用されている節が見受けられる。 しかしクリスマス……厳密には12月25日は日本人にとって海外とは違う特別なことがあった。 それは大正天皇祭、つまり1926年12月25日に崩御した大正天皇を偲ぶ日であり、 戦前では昭和天皇の先帝祭として祝日として法に定められていた。 戦後は法改正により先帝祭が休日ではなくなったが、 12月25日が祝日であった戦前の間にクリスマスが日本に広まったと言われている。 当時どのような事になっていたのかは俺には知るよしも無いが、 恐らくは祝日であった為に大人達も働くことなく休む人達もいて、 その人達は家族で過ごしたに違いない。 それは海外におけるクリスマスの過ごし方である『家族一緒にいる』 という事を知ってか知らずかなぞっていた可能性もあるのかもしれない。 しかし今は昭和も終わり平成の時代になり大正天皇が先帝ではなくなった今は12月25日は普通の日であった。 もっとも、先帝祭での休日というものも戦後無くなってから久しいが。 しかしいくら今は普通の日であるとはいえ、クリスマスという特別な日である以上みんなそれを意識するものである。 「提督、そろそろ始まりますよ」 「わかってるさ大鯨」 クリスマスイブの日の朝、俺達はホールの入口から舞台を見ていた。 「パンパカパーン!みんなお待ちかねの艦隊のアイドルの那珂ちゃん登場だよー!」 「メリークリスマス!那珂ちゃんからのクリスマスプレゼントだよーっ!キャハァッ!」 愛宕の紹介で現れたのはトップアイドルであり、川内型軽巡洋艦三番艦那珂の艦娘、通称那珂ちゃんである。 ちなみに那珂ちゃんの本名も『なか』であり、 かつて名古屋美人の代表と言われた女義太夫の豊竹呂昇の本名から来ているらしい。 小さい頃は自分の名前にコンプレックスがあったらしいが、それが今では那珂の艦娘であるのは運命的なものを感じる。 彼女は元々人気アイドルだったのだが、艦娘になってからもアイドル活動を続けていた。 彼女がアイドル活動を続けられる理由は彼女が戦闘要員としてではなく主に輸送部隊の護衛が仕事であるからだろう。 那珂ちゃんの仕事は輸送任務で船団を守り、輸送先でコンサートを開くというのが基本的なスタイルである。 那珂ちゃんが輸送任務をする時は彼女の都合にあわせて指示されるのだが そうなっているのは那珂ちゃんが人を笑顔にする力を持っているからだろう。 那珂ちゃんが笑えばみんなが笑顔になる。歌を聴けばみんなが元気になれる。 それは彼女の天性のものであり、俺達には彼女程のそういった力を持っていなかった。 彼女のその力は深海棲艦に大切なものを奪われ希望をなくした人々にもう一度希望を与えてくれるものだった。 もちろん、深海棲艦関係なく独り身である者達も例外ではないだろう。 「お疲れ様です」 「責任者としての義務を果たしただけとはいえただコンサートを見ていただけさ。 それに今回と、今度の新春特別コンサートは那珂ちゃんの所属事務所が担当だから俺は最終確認したくらいさ」 大淀が鳥海の声真似をして俺を労った。 年末年始のイベント事は那珂ちゃん関係ばかりだから那珂ちゃんの事務所に任せている。 あそこは大きな会社だからタレントが所属しているだけではなく、 様々なイベントのプランニング等も行っているらしい。 おかげで俺達の負担は少なくて済むわけだが。 「帰ってきて早々ですが、本日の深海棲艦出没情報の報告を致します」 「わかった。大鯨、君はお昼を作っておいてくれ。今日は味噌焼きうどんを頼む」 「わかりました」 返事をした大鯨は調理場へ走り出した。彼女は秘書艦だが食事時の前に会議を開く場合はあまり出席させていない。 彼女の料理の腕はかなりのものであり、 よほどのことがなければ会議によって料理の腕を振るう機会を損なわせるわけにはいかない。 「報告します。各地の深海棲艦の数に変化はありません。南西諸島防衛線も……韓国の済州島付近も……」 「ふむ…………ご苦労だったな、ありがとう」 電が途中言葉が詰まり気味になりながらも報告した。 「今年は大丈夫…ですよね……?」 「わからんな。いつもと変わらないのなら、奴らもいないということだろうが」 不安になる電だが無理もない。去年のクリスマス、南西諸島防衛線―通称1-4地点―に潜水艦が現れた。 いつもはいないはずの潜水艦だったが、それだけで恐怖ということはない。 問題は1-4地点に潜水艦が現れたと同時に謎の勢力『霧の艦』が現れたことだ。 彼女達は艦娘と同じく旧日本海軍の艦船の力を持っていたが、 艦娘とは違い彼女達は艦船そのものであり、その力も当時のそれを遥かに凌駕するものだった。 俺は偶然にも霧の艦への対抗勢力と接触し、力を借りることによりなんとか撃退した。 霧の艦が姿を消してから1-4地点から潜水艦も消えた。 だが完全に撃退したわけではないため、再び現れる可能性もある。 だから俺達は深海棲艦の出没情報をしっかりと確認し、そこから そして済州島だが、あそこは深海棲艦が元々ほとんど出没せず、出没してもそれは弱いものであった。 ならば何故わざわざ調べるのかと思うだろう。 それは渾作戦で春雨に似た深海棲艦の存在を確認したからである。 渾作戦。それは太平洋戦争中の作戦の名前でもあった。 ちなみに漣にメールで送ったところ予想通り大根を大量に買ってきたがそんなことは今はどうでもいい。 今回の渾作戦では春雨に似た深海棲艦の姫である駆逐棲姫、通称悪雨(わるさめ)が強敵として立ちはだかった。 太平洋戦争の渾作戦において沈んだ艦は春雨だけであり、他に沈んだ艦は日本以外を含めても一隻もなかった。 何故深海棲艦が艦娘と似た姿で現れたのか、それはわからない。 しかしそれ以来俺の頭の中には一つの不安があった。 それは、深雪の姿をした深海棲艦が韓国の済州島近海にいずれ現れるのではないかという事だった。 深雪は今いる艦娘の中で唯一力の元となった艦が戦争を経験する事なく沈んでいた。 戦う為に産まれた存在が戦う事なくその生涯を終えてしまう。それは艦として無念であろう事は容易に想像できる。 だからいずれ済州島近海に駆逐艦深雪の無念が 深海棲艦の姫―さしずめ闇雪(やみゆき)といったところか―となるかもしれない。 現れてから慌てて対応するのではなく、今のうちにやるだけのことはやっておきたかった。 「何も変化ないのなら心配する必要ない…とは言えないが今夜の任務についてもそろそろ…」 「ああ、本日行われる名古屋港花火大会で我々が警護を任されたからな」 「そうだ。AL/MW作戦の折の本土襲撃以降観覧クルーズどころか花火大会そのものが中止となりかけたからな」 「だから私達が護衛をすることによって、皆さんの楽しみだった花火大会を開催にこぎつけたわけですね」 「気合い入ってるな電、その通りだ。伊良湖沖近海の警戒、観覧船の警護が我々の仕事だ。 メンバーの選出は前もって伝えておいた。選出された者達は午後の任務はなし、 十分な睡眠を取るなどして休養してくれ」 「了解!」 「大淀、明石。俺と大鯨も休息を取るから午後からの仕事は君達に任せた」 「ええ、お任せください!」 こうして俺達は夜に備えて休息を取った。ちなみに川内は夜に備えて朝からずっと寝ていたのは言うまでもない。 ヒューン…………ドン!ドドン!ドーン!ドドドドーン!! 鳴り響く爆発音。これは戦闘をしているのではなく、花火の音である。 「わー…きれい…」 「すごいや!」 「兄ちゃんたち、ありがとー!」 子供達が俺に対してお礼をする。 「俺は別に何も…」 「提督、貴方のお陰ですよ。貴方が花火大会の開催に尽力してくれたから、こうして今花火を見られるんですから」 「そうだよ。僕達だけじゃ花火大会の開催にこぎつけるなんて無理だったんだから。 いくら僕達艦娘に力があったって勝手な真似は出来ないからね」 「お姉ちゃん、このおにぎりおいしいよー」 「ふふっ、僕の作った桑名名物しぐれ肉巻きおにぎりで喜んでもらえて嬉しいよ」 「でもこっちのおっぱい大きいねーちゃんの料理の方がおいしー!」 「まあ……………………でも、私の料理をそんなに褒めてくれるなんて……」 大鯨の顔が赤いのは子供に変な事を言われた恥ずかしさからなのか、それとも料理を褒められた嬉しさからなのか。 「キミィ、あんまニヤニヤしてたらアカンよ」 特別な衣裳を着た龍驤が俺をからかう。龍驤は俺がニヤニヤした理由をどう考えたのだろうか。 子供達が大鯨の胸を大きいと無邪気に言った事か、もしくは俺が大鯨の赤らめた顔を見たことか。 「すまない、空母の君を夜の任務に出して」 「ええんや、ウチだってみんなと楽しくやってたかったんや。水上で任務やってる仲間にはちょっち悪いんやけどね。 それにもし何かあった時にはウチら船上組が子供達の盾にならなアカンしな。 ウチの仕事がこれしかできんでもみんなの笑顔に繋がるなら、それで十分や」 船での花火の観覧を決行させるのは少し骨が折れたが、こうして子供達を笑顔にする事も艦娘達の仕事だろう。 名古屋港に通じる伊良湖沖では他の艦娘達が深海棲艦の侵入を阻止しようと警戒中で、 船の周りでは深海棲艦が万が一襲来した時の為に主に駆逐艦達が警護、 船上では周りの艦娘が沈んでしまった時の最後の砦としての他に 子供達の相手や料理を振る舞う為などいざという時の為に主に空母艦娘が備えている。 伊良湖沖では現在深海棲艦との激戦が繰り広げられているが、深海棲艦の侵入を許す程ではない。 彼女達もみんなの笑顔の為に戦っているんだ。 彼女達伊良湖沖出撃組が子供達と合うことはないだろうが、帰ってきたら子供達が喜んでいた事を伝えよう。 「提督、次は特大花火ですよ。大鯨さんと一緒にちゃんと見てくださいね。あなたは大鯨さんの主人なのですから」 特別な衣裳を着た漣が俺に呼び掛ける。彼女は昔は俺の事をご主人様と呼んでいたが 俺が婚約したと聞いてからは色々と気を遣ってかご主人様とは呼ばなくなった。 漣の予告通り大きな花火が空に上がった。それを俺は愛する人と共に見ていたのだった。 花火大会も無事終わり俺達は鎮守府に戻った。 そして全ての仕事を終えた俺は大切な人と一緒にクリスマスの特別な行事を行い、 それを終えて俺達は眠りに…… 「寝るな。少し貴様に話がある」 つこうとしたら那智達に起こされたのだった。 「怒ってなんてないですよ…司令官と大鯨さんが初夜以降一度もそういった事をしない事に、弥生達も、大鯨さんも…」 「でもそれはあまり上手くいかなくて相手を傷付けてしまったと思い、 これ以上傷付けてしまう事が怖いからっていう事はみんなわかっているのです」 何でいきなりこんな事を言われるのか。気心の知れた間柄でなければ少しは怒っていたかもしれない。 「あの…少しは否定するそぶりくらい見せてください…私が大鯨ちゃんから話を聞いて、 こっちが勝手に不安になって、誰にも話さないでとは言われていないからとはいえみんなに相談しちゃったとはいえ…」 情報の出所が変な所でなくて良かった。内容に特に間違いはないから俺は否定しない。 「それが言いたい為だけにみんなを集めたわけじゃないんだろう」 「その通りだ。夫婦が納得した上での事なら口出しは無用と思っていたからな。 それよりも貴様に少し聞きたいことがある」 「何だ?」 「貴様は結婚してから休みを取った事はあったか?」 「休みか…………渾作戦以来一日も休んでなかったな」 「そうだ。渾作戦の期間中に休みがないのは仕方がない。だがそれ以降今日まで一日も休まなかったではないか」 「俺にも信じられんよ。まさか一日の休みもなしにここまで働けたなんてな」 「なら二人の時間は仕事が終わった夜の数少ない時間以外にあったか?」 「二人の時間…………プライベートな時間だとそれ以外なかったけど、 二人きりではないとはいえいつも仕事でほとんど一緒にいるし、昨日の花火大会はもとより、 カレーラーメンコンテストの特別審査員やった時も一緒だったな。 あとさっき駆逐艦のみんなに彼女と一緒にプレゼント配ったりしていた」 「こんな時にあなたは……」 「…………君に聞きたいことがある。君は何の為にここにいる?」 「お前達が呼び出した…って、そういう意味じゃないよな。 俺が提督をやっている理由、それは地上の愛と正義の為だ」 「真っ直ぐで迷いがないな。それでこそ君だよ。では大鯨と結婚した理由は何だ?」 「そりゃあ、俺が彼女の事がどうしようもなく好きで、ずっと一緒にいた……ッ……!」 最後まで言い切ろうとして途中である事に気付き、言葉が詰まる。 「ただ大鯨ちゃんと一緒にいたいだけなら結婚なんてする必要はありませんわよね。 あなたは大鯨と結婚したわけじゃないはずよ。あの子が提督と結婚したわけじゃないみたいに……」 そうだ。如月の言う通りだ。ただ一緒にいるだけなら結婚する必要なんてない。 ただ一緒にいるだけならば提督と艦娘大鯨という上下関係だけでも十分である。 俺は彼女と生涯を共にしたかった。俺が提督ではなく俺である時もずっと一緒にいたかった。 だから彼女と結婚したんじゃなかったのか。 だけど俺は結婚して以来休みがなかった事も重なって一度も夫らしいことをしてこられなかった。 むしろ結婚前の同棲状態だった時の方が彼女に色々と気を遣っていた分だけ彼女に何かをしてやれていた気がする。 そしてその時が今まででは一番二人にとって一番幸せだった時なのかもしれない。 結婚したのもこの幸せがずっと続いてほしいと思ったからだ。 だのに俺は仕事ばかりで、それすらも言い訳にして、でもそれでも彼女とは一緒にいられて………… 俺は愛する人がいつも傍にいてくれる事に甘えすぎていたのかもしれない。 「貴様はあまりにも働きすぎた。クリスマスくらいはゆっくりするんだ。 あと大鯨も最近は働き詰めだったから休ませないといけないな」 それは二人の時間を作れという事を遠回しに言っているのだろう。だが… 「仕事はどうするんだよ」 「私達に頼ってもいいのよ」 ビスマルクが自信満々に即答する。なんとなく頼りになりそうな気がしてくる。しるこサンドを食べながらでなければ。 「一日や二日くらいなら、私達だけでも何とかなるのです!」 「そうよ、私達に頼ってもいいんだからね!」 「幸せそうな貴方達を怨むほど私達を狭量と思わないでね!」 「…………わたったよ、みんなを信じる」 俺はどうするべきか迷いながらも彼女達の力を信じ、全てを任せた。 「フッ…君の健闘を祈るよ……」 そう言った那智の顔は普段目にすることがないような笑みを浮かべていた。 「当たって…当たってぇー!」 雪玉が飛んできたがそんなに速くなかったから難無く避けられた。 大鯨は潜水母艦だ。故に攻撃能力に乏しく、その艦娘である彼女にも戦闘のセンスは今のところ感じられない。 「負けるかっ!とぉありゃあっ!!」 俺はスナップを効かせた球を投げた。 「きゃーーっ!!」 脚に雪玉を受けた彼女はよろけて倒れた。 訓練された艦娘だけあって受け身こそ取れたものの雪の上に尻餅をつく形になってしまった 「ああっ!?だ、大丈夫か!?」 「うぅ……大丈夫…です……」 俺は急いで駆け寄り、手を引っ張って起こした。 雪のおかげで怪我はないようだ。それにしてもお尻の跡が大きい。 「すまない、少し強すぎたか…」 「いえ…でも凄い球でしたね」 「中学時代に野球をやっていたからな。試合にはあまり出られなかったけどね。 この近くの野球場でやった試合に出た思い出が懐かしい」 「この九力公園…って色々なものがあるんですね」 「いや、違う。『力』という字じゃない。ここは九華公園で『華』という字がカタカナのカになってるだけだ。 一部の看板で華の字がカタカナなのは小学生が書いたからなのかもしれん。そこら辺のことはわからないが…… この公園は元々桑名城跡に作られたんだ。桑名城は扇城という別名があり、中国には九華扇というものがある。 扇城という別名と、九華がくはな、『くわな』と読めることが名前の由来なんだ」 「物知りですね」 「それほどでもないさ。それより久しぶりに体を動かしたから少し疲れたよ。近くに休憩所があったはずだ」 俺は彼女の手を引っ張り、休憩所へ向かった。 「あぁ…久々に体を動かしてちょっと疲れました。でも楽しかったです。 桑名名物の安永餅も運動した後に食べると美味しいです…」 「そういえば最近君に出撃どころか演習もさせてなかったな」 俺達は中京圏の中心から少し離れた所にある公園に来ていた。 もう少し名古屋に近い所にテーマパークがあったが、混雑しているだろうと思い、そこは避けたのだ。 公園には雪が残っていたので雪合戦をしたが、思いのほか楽しかった。 「ここは名古屋に比べたら規模は小さいかもしれないけど 田舎で育った俺にとって小さい頃はこの街が一番身近な都会だったさ。 夏とか、クリスマスとか、そういった時くらいしか来ることが出来なかったけど、 でもだからこそワクワクしたんだろうな。純粋だった子供の頃…その沢山の日が懐かしいよ」 「そのどの一つにも私がいないのにですか?」 「ッ……」 俺は返された言葉に少し驚いた。彼女も歌の歌詞を引用して喋ったりすることもあるのだろうか。 「他にもあるよ。君と出会った日とか、君と一緒に暮らした日々とか……どれもこれも懐かしい沢山の日だよ! 去年のクリスマスや正月と同じくらい記憶に残っているよ」 「去年の…クリスマス……」 「あ……そうか、去年の年末年始の事は君にはあまり詳しく言ってなかったな」 「今まで私から聞こうとはしませんでしたからね。仕方ありませんよ」 「じゃあ、ざっとだけど説明するよ」 俺は彼女に霧の艦隊との激しい戦いの事を話した。 ブルネイ勤務だった俺がイオナという霧の艦の少女と出会い、彼女の力を借りて日本に戻り、 霧の艦隊との戦いで新たに加わった霧の艦達と、高い練度の艦娘達との混合艦隊を組み、 霧の艦隊の『今回の』リーダーのコンゴウを撃退し日本を救ったという事を説明した。 「凄かったのですね……」 「ああ……でも一部の霧の艦達も共に戦ってくれた。そんな彼女達もまたイオナと同様心強い味方だった。 新たな深海棲艦が現れ、戦いも激しくなろうとしている今、彼女達がいてくれたらと思うと……」 「きっと彼女達にまた会えますよ。いつかきっと出会う僕らを乗せて地球が回っていますから……なんてね。 あなたの熱い思いが彼女達の心に残っているのなら、 潜水母艦の艦娘である私は潜水艦のイオナさんに眼差しを」 「……君も色々と物知りなんだな」 「そこまでではありませんよ。小さい頃のクリスマスの夜にテレビでやっていた映画の主題歌で思い出深いだけですし」 「俺もだ。その年のクリスマスは特に思い出深い。当時見ていたロボットアニメのプラモデルのメッキ版を買い、 すぐ壊してしまって接着剤でくっつけた事とか、色々あったからよく覚えているよ。 小さかったあの頃は本当にクリスマスが楽しみだった……」 「そうですね、私もそうでした……」 俺は昔を懐かしみながら言った。彼女もきっと昔を懐かしんでいるのだろう。 「それにしても平和ですね。まるで深海棲艦の事なんて忘れちゃいそう…」 「そう………だな………………」 「ん?どうしたんですか?」 彼女か俺に問い掛ける。俺は今までの事を思い出していた。 雪合戦で天使のようにはしゃぐ彼女の笑顔、街行く人々の活気、子供達の希望に満ち溢れた声…… 提督として人々を護っていた立場から離れて、色々なものを見てきて気付いた事がたくさんあった。 「いや…地上がこんなに平和なのは電や如月達が頑張っているからってのもあるかもしれないって思ったんだ。 俺が提督として戦っている時、きっと人々の気持ちは今の俺達の気持ちと一緒なのかもしれないって。 今までの事を思い返して俺は人々の幸せの為にちゃんと戦えていた。 だけど……君には何もしてやれなかったって気付いたんだ。 今まで提督として護るべき人々の為に頑張っていたけど、 俺が一番大事にしなきゃならない人には何もしてやれなかったって……」 昨日那智達に言われた事が心の中に残っていた。 地上の人々と最愛の人、その二つの間で俺の心はほんの僅かだが揺れ動いていた。 「ふふっ、心配しないでください。大丈夫ですよ。 初めて結ばれたあの時、私は誓いました。ずっとあなたの傍にいます…ってね」 「いいのか…」 「いいんです、あなたの力と安らぎになりたいから…… あなたがあなたしか出来ないことをしているのならいくらでも耐えられますし、どれだけでも支えていられます」 「……ありがとう…………」 俺の心は決まった。地上の人々と最愛の人、両方の為に戦う事を決意した。 「あ、でもあんまりほったらかしにしていたら、私は如月ちゃんとらぶらぶになっちゃうかもしれませんよ」 「君の心が離れるのは辛いな……」 彼女と如月は根底に『誰かの役に立ちたい』という想いが強くあるからなのか凄く仲が良い。 微妙に冗談に聞こえなくもないから困るのは俺の性格ゆえか。 「何事も一人で抱え込んじゃうといつか壊れちゃいますよ。 だからもっと私やみんなを信じてください。大丈夫、あなたは一人じゃありませんから」 彼女が支えてくれるなら何でも出来る気がする。青臭いけど、俺はそう心から思った。 「わあ、とても綺麗ですね」 俺達はなばなの里に来ていた。ウインターイルミネーションで有名な場所である。 「クリスマスだから…でしょうか。とても幻想的に感じます」 「クリスマスだからだろうな。これが明日以降ともなればまた違った感じ方をするだろうな」 「そう考えるとクリスマスって何か不思議な力があるのかもしれませんね。子供達もみんな喜びますし」 「ああ、みんな喜んでいたな。プレゼントに頭を悩ませた甲斐があったよ」 「それもそうですけど、昨日の花火大会で私が作った料理を子供達に喜んで食べてもらって、 それがとても幸せそうで……私、本当に嬉しかったんです。 そしてあなたが昔言ってくれた言葉が本当だったんだって思ったんです」 『大鯨は将来きっと…料理で人を幸せに出来るだろうな』 俺はかつて彼女に言った言葉を思い出し、彼女が俺の何気ない言葉を覚えてくれていたことを喜んだ。 気恥ずかしさから本当の気持ちを少しオブラートに包んだものだったけど、 オブラートに包んだ言葉、そして包み隠さない本当の気持ち……いいお嫁さんになれる…… 彼女はそのどちらも出来る人だ。俺はいい提督といい夫のどちらにもなれるのかはわからない。 「だから私、自分が出来るもう一つの事が見つかった気がして……」 「もう一つの事?」 「私、お料理で人を幸せにしたいんです。小さなお店でもいいから、この戦いが終わったら…」 「鳳翔の店で今…じゃなくてもいいから働けばいいじゃないか」 俺は危ないフラグを強引に叩き壊した。 「彼女だって、人を幸せにしているんだ。二人が力を合わせれば更に多くの人を幸せに出来るだろうし、 もっと多くの人が力を合わせればもっともっと多くの人を幸せに出来るはずだ」 「………お気遣い感謝します……」 彼女も俺の言葉の割り込みの意図に気付いたようだ。 こうしてみると彼女は俺色に染められつつあるのかもしれない。いや、もしかしたら漣色かもしれないけど。 「ま、描くビジョンを現実にする魔法があるのかどうかはわからないけど、 明日を信じ続けていれば砂漠だって楽園に変わるはずだ」 「そう信じたいですね」 「ところでさっき言おうとしていた夢って一体何なんだ?」 「ナ・イ・ショ 内緒です」 「そうか……じゃあ君の夢が何なのか知りたければ頑張らなきゃいけないな」 「私も夢を叶えたいですからね。一緒に精一杯頑張りましょう!」 「ああ!」 彼女の夢は何となくだけどわかる気がする。 いつか深海棲艦がこの地上から消えてなくなり平和が戻ったら 彼女はみんなに手料理をふるってみんなを笑顔にし、そして彼女も笑顔になるだろう。 平和になった後の事を漠然としか考えていなかった俺だったが、 彼女の夢を知った俺はその夢の手助けをし、絶える事のない笑顔の彼女とずっと生きていきたいと思った。 ―終―
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基本情報 玩家 初期個性 5 人物 艦名 長門 等級 1 名字 聲援 感情值 屬性 艦種 戰艦 經驗值 O 資材相性 燃料 彈藥 鋼材 鋁土 O △ △ △ △ O 命中力 火力 回避力 裝甲力 裝備力 行動力 O 0 4 0 12 4 7 O 道具 行動力現在值 O O 鎮守府名稱 等級 O 艦隊名 O 提督名 O 個性列表 一、背景 二、魅力 三、性格 四、興趣 五、航海 六、戰鬥 二 人脈 坦率 不可思議 睡覺 暗號 電子戰 二 三 名聲 冷酷 大方 幻想 通信 航空打擊戰 三 四 灰暗過去 溫柔 照顧人 生物 索敵 航空戰 四 五 古風 賢淑 認真 閱讀 規律 對空戰鬥 五 六 口癖 堅強 不服輸 食物 補給 突擊 六 七 幸運 笑容 活潑 八卦 待機 砲擊 七 八 偶像 笨蛋 楽觀 購物 機動 撤退 八 九 秘密兵器 爽朗 細心 藝能 航海圖 支援 九 十 大小姐 有趣 壞心眼 時尚 指揮 魚雷 十 十一 容姿 H 自由奔放 入浴 衛生 對潛戰鬥 十一 十二 國外生活 華麗 大膽 戀愛 整備 夜戰 十二 特能 特能 名字 類型 指定個性 射程 命中 火力 形式 範疇 裝備能力or效果 【大口徑主砲】 裝備 指揮 長 0 2 - - 【副砲】 裝備 認真 中 0 1 - - 【集中攻擊】 戰術 認真 - - - 次要 攻勢 命中判定前使用,通過個性判定,該命中判定的2D6丟出10以上就算特殊成功。 【BIG7之力】 固有 無 - - - 自動 長門 命中判定為特殊成功時,【火力】提昇兩點。 損傷狀態 損傷狀態 裝甲倍率 受到的傷害 損傷數 標記 狀態 效果 【裝甲力】X1 12~23 一個損傷 O 小破 無 【裝甲力】X2 24~35 兩個損傷 O 中破 ●判定受到-1不利修正●不能使用種類為艦載機或魚雷的裝備特能 【裝甲力】X3 36~47 三個損傷 O 大破 ●判定受到-2不利修正●不能使用種類為艦載機或魚雷的裝備特能●不用骰「事故表」也能使用【弱點】 【裝甲力】X4 48~ 四個損傷 O 轟沉 ●不能行動
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「昇進するって、誰が? …えっ、あんたが!?」 私の言葉に司令はコクリとうなずいた。 そして、口で何か言う代わりに、本部からの高速暗号通信を見せてくる。 いつだって、この司令官は無口なのだ。無口で、鈍感。 「ちょっと見るわよ…へーぇ、こんな大艦隊を指揮するようになるのね、あんたもやるじゃない」 通信文には、私の司令官を海域突破の功によって昇進させる旨、そして新しく彼の旗下に入る艦隊の詳細が書かれている。 その艦隊に、私、叢雲はいない。 「ふぅん、やっぱり配属は変わるのね。でも、気候もいい土地じゃない。ま、せいぜい頑張りなさい」 次なる彼の赴任地、これも、ここから遠く離れた南方の泊地だ。 要するにこの通達は、私たちの関係の終わりを示していた。 もちろん、関係、って変な意味じゃないけれど。 彼が司令官としてここに着任して以来ずっと、司令と旗艦という形で上手く(まぁ、衝突もそりゃ絶えなかったけど)…上手くやってきたこの間柄も、もう終わりなのだ。 …あぁいけないいけない。私がこんなしんみりした調子じゃ。 こいつはこれから大事な艦隊を預かる身なんだから、気合いを入れてやんなくちゃ。 「ほら、なーにをしみったれた顔してんのよ! 昇進よ、嬉しくないの!? この私が喜んであげてるのよ?」 そう言ってぺしっと肩を叩いてやると、ようやくこいつも我に返ったらしい。 若く精悍なその顔が、こっちに向き直る。その仕草に、一瞬ドキッとしてしまう。 「あ…あぁ、いや、すまない。ちょっと俺も気が動転したんだ」 「こっちの台詞よ。ヘボでモグリのあんたが出世するなんてね…ま、素直に祝ってあげるわ。まだ、言ってなかったわね…おめでとう」 「ああ。ありがとう…」 私からの祝福に、司令は肩をすくめてお礼を返してみせる。 「うん、本当によかったわね…さて、夜も遅いし私はおいとまさせてもらうわ。あんたも明日から任地へ向かうんでしょ? それじゃ、おやす…」 「ま、待ってくれ…叢雲っ!」 突然に、司令は私の手をぎゅっと握ってきた。 今まで私の手や肩に、触れようとしたことさえなかったのに(まあ私が、酸素魚雷を食らわせるぞって、最初に脅したせいでもあるんだけど)。 おかげで私はすっかりパニクってしまう。 「そ、その…なんだ、ほ、本当にありがとう…叢雲」 「へっ…な、何!? どうしたってのよっ!?」 「い、いやその…お前には、ここに着任したときから、ずっと色々、艦娘の扱いとかを、お、教えてもらってきただろう!? だから俺は叢雲に、す、すごく感謝しててだな…!」 私の目の前で司令は、口をぱくぱくさせて、言葉をつっかえさせてる。慣れないことをするからだと思う。 顔までそんなに赤くしちゃって。 正直ドギマギして、こんなこと言われるだけで心臓をばくばくさせてるのは、私の方だっていうのに。 「む、叢雲っ、俺は…お、お前のことがっ…」 「ちょ、ちょっと離してってば、バカ!!」 あろうことか、私はその手をふりほどいてしまった。 その瞬間、司令の顔が、子供のような呆然とした表情に変わるのが見えて、私の胸がちくりと痛む。 「…………!!」 私は、もうおやすみの言葉も言わずに、後ろを向いて駆け出すと、執務室を後にしてしまった。 取り残されたように佇む司令を、一人そこに残して。 私の、バカ、馬鹿、ばか。 私は部屋に帰ると、寝巻きにも着替えずにベッドに突っ伏していた。 どうして私は、私を求めてくれる司令の手をはたき落として、拒絶してしまったんだろう? 司令は私との別れをもっと惜しみたかったのかもしれない。 司令は私を……好き、だとかなんとか、言ってくれるつもりだったのかもしれない。 司令は私を、抱きしめてくれようとしたのかもしれない。 でも、そのどれもを私は、あんな風に手を払いのけて、突っぱねてしまった。 「…なんで、素直になれないかなぁ…私」 無口でモグリで融通が利かないけれど、そんな司令に、私は…いつの頃からか好意を持っていた。 ううん、好意なんてもんじゃない。好き。 いつか私の口から言おうと思っていた、その言葉。 それを朴念仁のあいつの方から、しかも明日には別れるという頃になって、あんな風な余裕もない、ムードもない告白をしようとするもんだから。 だから、私は嫌になって逃げ出してしまったんだろうか? …けれどもう私には、今から引き返して、彼に好きなんて言うことは出来ないだろう。 私にはその勇気がない。資格もない。 ホントはあいつは、有能だ。この水雷戦隊を率いるだけに収まる器ではないのだ。 いち駆逐艦にすぎない私が、彼を引き留め、栄光の座から遠ざけるなんてことは、きっと、誰のためにもならない。 そう、だから私は、自分からこの恋を諦めることに決めたんだ。 「……ん、あれ…な、何でかしら…っ」 そう考えると涙が次々、つぎつぎと溢れてきた。 彼を思う涙だろうか? …いや、この先いくらでも出世して、人の尊敬を集めるだろうあいつの未来を考えたら、涙なんて流れるはずはない。 これは自己憐憫の、汚い涙だ。私は流れ出るソレを拭う。消えてしまえと思う。 私は、暖かく湿らせたタオルを目にかけて、横になって眠ろうとした。 泣き腫らした目なんかで、彼を見送るわけにはいかない。 明日は笑顔で、あいつの門出を見送ってあげなくちゃ――。 (あ……司令の…うで、だ) 夢の中で、私は司令官の腕につつまれていた。 たくましい腕が、私の髪や頬を優しく撫でさする感触が伝わってくる。 それが夢だと気づいたのはもちろん、今まで司令がそんな風に私に触れたことなんて、一度もないから。 すぐに、こんな破廉恥で虫のいい夢を見る自分を、あさましい女だと思った。けど同時に、もう少しだけこの夢に浸っていたいと思う私がいる。 夢の中の彼は、私の上に覆いかぶさるようになったかと思うと、次の瞬間、私の唇にそっとキスをしてくれた。 それだけで私は嬉しくてたまらなくって、涙が出そうになる。 (司令……司令っ…!) 声を出して彼を呼びたかった。けれど私の喉は張り付いたようになって、何の音も漏れない。 これが夢の不条理というやつ? そうして私がおとぎ話の人魚姫のように声も出ないままでいるうちに、今まで私の髪や頬を撫でていた彼の腕が、だんだん下の方へ伸びていくのを感じた。 (えっ……ちょ、ちょ、ちょっと!! ダメ、ダメだって!!) 頭ではそう思いつつ、私は制止することが出来なかった。 どうやら、声が出ないのと同じく、私は手も足も、文字通り指一本動かせないのだ。なんて夢。 抵抗できない私をよそに、司令の手は、私の薄い胸の上を、無造作に突き出た足を、スカートとストッキングに守られた私のお尻の上を、欲望に突き動かされたような手つきで這い回っている。 暖かい口づけをしてくれた彼の唇からも、いつしか、荒い、興奮した様子の息が漏れていた。 と、私の下半身を探っていた一方の手が、スカートの下に潜り込むと、私のストッキングとその下のパンティを、いっぺんに掴んだ。 (やっ…やだ…!! ありえないっ…!!) たとえ夢とはいえ、こんなこと、私は望んでない! 私は必死に目を見開こうとした。夢の中で、目を覚まそうと。 (……え?) 私は一瞬、状況が飲み込めなかった。 何が起こっているのか。私の体に、何が行われてるのか。 「叢雲…叢雲っ…!」 目を開けると、さっきの夢とよく似た光景がそこにはあった。 私の体はベッドに横たえられている。 そしてそんな私の上に、司令が――信じられないけれど、今度は夢ではない――司令が、覆いかぶさっている。 けれど、感触は。胸や、背中や、お尻や…口では言えないようなところまでを、ところ構わず這い回られる、その感触は。 夢の中よりずっとリアルで生々しいもの。 そう、夢の中と同じく私の体は、ベッドに這いつくばって私を見下ろす司令の指に、手によって、蹂躙されていた。 (し…司令…!? ちょっとウソ…何を…っ!) 叫ぼうとしても声が出ない。こんなところまで夢の中と同じなんて。 けれど少し事情が違うのは、私は理由なく声が出せない訳ではなく、口に詰め物がされているのだった。たぶん私が寝る前に瞼に被せた、温タオル。 身をよじらせて抗議しようとしたけれど、どうやら腕は、すでに脱がされた私自身の上着で、頭の上でひとつに縛られ、動けなくされている。そして足は司令の膝の下に抑え込まれていた。 私が夢で触れられているとか、動けないと感じていたのは、全部、現実に起こっていたことだったのだ。 執務室を飛び出たあと私は、たぶん鍵をかけることも忘れて、寝入ってしまったんだろう。 夢の中のすべては、寝ている間に彼が部屋に忍び入って、私の体にしたこと。きっと、もっと乱暴だったに違いないけど。 (どうして、こんな……っ!!) あまりの理不尽に、困惑や涙より先に、怒りがこみあげてくる。 これではまるで、レイプだ。 私は組み敷かれて、動けない体をいいようにもてあそばれている。 それも見ず知らずの誰かでなく、想いを寄せていた相手に。 なんで、こんなことを、と叫びたかった。 私が何度か首を振ってもがくと、ようやく口にされていた詰め物が唾液の糸を引いて取れた。 「や…やめなさいっ!! あ…あんたっ…なに考えてるのよっ!!」 私の声は、自分でもみっともないほど恐怖に震えていて、ほとんど意味を成してなかっただろう。 けれど司令は、それで声を抑える詰め物が取れたのに気づくと、とっさに自分の手で私の口を再びふさぎ、私はまただんまりを強制された。 その時、私に向けられた目は、あの時、執務室で私がその手を払いのけた時と同じ、子供のような―― 泣き出す直前の子供のようなあの目と、そっくり同じだった。 私に向き直ったのは一瞬だけで、すぐに司令は、私の首に顔を埋める。 そして、唇が私の首元に近寄せられ、激しいキスのような勢いで、その部分が吸われた。 (~~~~~~~っっ!!!) 甘い電流のような痺れが、私の体を襲った。 ちゅうっ、と音が立てられるのを、私の頭は、あの夢の優しいキスの続きででもあるかのように錯覚してしまう。 「叢雲…」 司令はうわ言のように、私の名前しか繰り返さない。 彼は私の首の付け根から離れると、その唇をさらに下の方へ、鎖骨を下り、私の胸へと滑らせていく。 そうだ、もう上着は脱がされているのだから、私の胸は裸のまま、たぶん私が起きたときからずっと、彼の前にさらされていたのだ。 そのことに今さら気づいて、私はかあっと赤面する。 そんな私にお構いなく、司令の温かい唇は、私の肌の上を転がるようにして、ついに胸の先端にたどり着くと、それへと舌を這わせた。 (い…やぁっ…! ………ああぁっっ…!!) きっと、口をふさがれていなかったら、乞うような嬌声を上げてしまっていただろう。 まるで彼に触れられた部分に次々新しい神経が通っていくみたいに、全身の感覚が一点に集中する。 舌で舐られるたび、私の胸の先っぽが、もう快感につんと立って主張しているのが自分でもわかって、また火が出るほど恥ずかしくなる。 こんな乱暴な愛撫の一つ一つに、私の体が馬鹿みたいに反応してしまっているのに、彼もとっくに気が付いているはず。 手に唇に触れられただけでビクンと体は震え、耳も顔も真っ赤になってる。 私のこと、夜這いをかけられて、組み伏せられて、興奮してしまうようなヘンタイ艦娘だって思うだろうか? (私だって…ホントはこんなの……っ!) ホントは、こんな風なの、望んでなんかいない。 私だって、恋をする女の子だ。司令の腕に抱かれたり、ついには体を許してしまうのを、想像したことだって幾度かある。 けれどそういうのは、愛の言葉を囁いたり、おたがい抱きしめ合ったり、キスをしたり、そんな優しい、愛の手続きの後で行うものだって、そう私は空想していた。 それなのに、何で、こんな――。 必死に足を動かして、彼の体の下から逃げだそうと試みるけれど、膝から下を体重をかけて抑え込まれているから、もがくことしか出来なかった。 しまいには口をふさいでいる手にかじりついたりしたけど、ちっとも動じない。 そうこうしているうちに、司令の自由な方の片手が、私の太股の部分に、すっと触れる。 手のひらと四本の指は、ストッキング越しの足の手触りを楽しむように、そして親指は、私の下着のクロッチ部分の上に―。 (――やっ……あっ、ありえないって、こんな…!!) 自分でも触れたことのない部分を刺激されて、未知の感覚が私を襲う。 司令の親指は私の女の子の部分を、その縦筋を二重の布の上からたしかめるように、何度も上下する。 そのたびに痛いような、疼くような、もどかしい感じが私の頭に走り抜けるのだ。 やがて二本、三本と、ぜんぶの指が責めに加わった。 まるで私のあそこがすっぽり、彼の手の中に収められてしまったみたいな感覚。 上も下も、すべての部分を、絶え間なく私は責め立てられてゆく。 くち、くち、と下着の中からは、おしっこを拭くときみたいな、恥ずかしい水音が漏れている。 私の耳にも、彼の耳にも聞こえる水音が、響きわたる。 ずっと、はぁはぁと荒かった司令の息づかいが、さらに昂ぶるように、速まっていく。 恐怖と、恥ずかしさと、困惑と、気持ちよさで、私がもう何もわからなくなりそうになった頃。 びびびっ、と音を立てて、ストッキングが破られた。 (あ……) ちょうど股間部分が破かれて、空気にさらされたのが分かる。 続けて、いつの間にベルトを外したのか、司令は軍袴を膝まで落とすと、性急な手つきで下帯も脱いだ。 暗くてはっきりとは見えなかったけれど、黒々と屹立したシルエットが、その下から現れていた。 「叢雲――」 激しい息づかいの中で私の名前を呼んで、司令が、私により深くのしかかる。 くい、と、パンティが指で横にずらされたらしかった。 そうして露わにされた私の大事なとこに、こんどは指じゃない、さっきの屹立したモノが、あてがわれる感触がある。 熱いソレが、にゅち、にゅち、とぬめる入り口を、なぞっている。 いやだ。 背筋に悪寒が走る。 私は、他の艦娘にくらべて、エッチのこととかなんとか、そういう興味は薄い方だと思う。 他の子たちが、キャーキャー言いながら回し読みする春本だって、ほとんど手にとって眺めたりしなかった。 けれどこのとき、司令がこれから何をしようとしてるのか、直感的に私は悟った。 いやだ、やめて! あんたのこと、嫌いになりたくない。 お願い。 口を動かせない私の頬を、涙がつたった。私の口をふさいでいる司令の手にもそれがぽたぽたと落ちる。 司令がはっと気づき、私と彼の目と目が合う。 むらくも、と彼の唇が動く。 彼の目に、いま私はどう映ってるんだろう? 元秘書艦の女の子? それともただの性欲のはけ口? さんざん生意気で横柄な態度をとっておいて、いざ押し倒されたら涙で許しを請おうとする、馬鹿な小娘? 「お前が…お前がいけないんだ、叢雲……俺の気持ちに気づかないから…」 その言葉は、まるで司令が自分自身に言い聞かせてるみたいだった。 それだけ呟くと、彼は私の顔から目をそらして。 一気に腰を進めた。 (…………………っ!!!) ぷつっ、と。 何かが弾けるような感触と共に、私の中に、熱いものが押し入った。 ダメ、痛い。やだ。やだ。やだ。やだ。痛いっ、痛い! 頭には、それしかない。 私の体は全力で締めつけて追い出そうとするけど、力負けして、鉄柱のようなそれが結局、おへその下まで入ってくる。異物感がすごい。 どう考えても私の中にそんなスペースなんてないと思うのに。 彼が弾丸で私の下腹部に穴を穿って、ぐりぐり押し広げているんじゃないか、そんな錯覚すら覚えた。 「……ふっ、ぁ……叢雲…っ!!」 そんな私をよそに、彼は感極まったような声を上げる。 ゆっくりと、段々と激しく、引き抜いては私を突き上げる。こっちは痛いってのに。 私が痛みで腰を引こうとすると、お尻を手でつかまえられて、押し戻された。そのせいで、司令の先端が、私の最奥をゴリゴリとこする。 ずちゅっ、ずちゅっ。 そんな間の抜けた水音が、司令と私の腰が、繋がったり離れたりするたびに響く。 私の激痛なんてまるで関係ないみたいで滑稽だった。 滑稽と言えば、このベッドがきしむ音も、司令の必死な息づかいも。 早く、はやく終わってほしい。 私はもうただそれだけを祈っていた。 今はけだものみたいになってる彼も、ひとしきり満足したら、元に戻ってくれるだろうか? 『お前がいけないんだ、叢雲……俺の気持ちに気づかないから…』 頭の中で勝手に、さっきの彼の言葉がくり返される。 一体、どこでボタンをかけ違ったんだろう? 鈍感で、朴念仁だなんて、ののしっておきながら、私こそ司令官の気持ちを推し量ろうとしなかった。 もし私が勇気を出して言っていたら。 もしあの手を払いのけなかったら。 こんな風にはならなかったかもしれないのに。 でも、もし私のことを好きだっていうんなら、なんでこんな酷い仕打ちをするんだろう? 好きだけど、それでも私があんまり生意気な子だから、痛めつけてやりたかった、とか。 ――この体の痛みも、胸の痛みも。罰なんだろうか。 「叢雲…叢雲っ……!」 熱に浮かされたみたいな彼の声で、現実に引き戻される。 ピストンがいちだんと速くなったかと思うと、私を突き上げてた剛直が、勢いよく引き抜かれた。 あ、と考える間もなく、熱い飛沫が、私の下腹に、二度、三度と飛び散った。 熱湯がかけられたかと思って、つい、ひゃあっ、と声を上げる。 と、ここで私はようやく、口をふさいでいた彼の手が、どけられたのに気がついた。 「あ…」 気づくと、司令が私の顔の横に手をついて、私を見下ろしていた。 呼吸はさっきほど荒くない。落ち着いてきてる。 状況が違えば、ドラマによく出てくる、男が恋人を押し倒した直後みたいな構図だ。 ふいに司令が、すっと私の顔に手を伸ばす。 「や…やめ…っ!」 私は反射的に目をつむってしまった。 何かまだ、ぶたれたり、もう一度、犯されたりするんじゃないかと思っていたから。 そんな私の頬を、温もりを持った指が、優しく拭っていく。 身をすくめていた私が、おそるおそる目を開くと、司令は身を乗り出して、私の頭の上、拘束されてた私の手首の縛めを、ほどいてくれていた。 放心した頭で私は、終わったのかな? などとぼんやりと思った。 …何が? 相変わらず司令は私の上で、言うべき言葉を決めかねているみたいな顔をしている。 「痛い…」 私がぽつりと言った。じっさいそれは、正直な感想だ。 縛られてた手も痛いし、抑えられてた足も、あそこも…。 「だろうな」 司令はそう返す。 ああそうね、「すまない」なんて言ってたら、きっとぶん殴ってるところだわ。 …そうだ、私にこれだけ酷いことをしておいて…今さら、優しさなんか、いらない。 徹底的に私を、慰みものにでも、すればいいのに。 でも司令は代わりに、部屋にあったティッシュで、私のお腹を汚してた精液と、破瓜の血とを拭ってくれていた。 「………なんで、そんなに優しく、するなら…」 だったら何で、最初から優しく、してくれなかったの。 途中から、また溢れてきた涙で言葉にならなかった。けれど彼は意味を察したらしい。 「…お前に、徹底的に嫌われたかったから」 私のいない艦隊なんて考えられなかったから。私に想われないで去るくらいなら、いっそ壊すくらいに痛めつけて、一生私の心の中に残りたかったから。 司令はそんな風に訥々と語る。 それを聞いて私は、ああ、この人は馬鹿だと悟った。 私と同じたぐいの、馬鹿。 司令を好きでいるのが辛くて、司令の告白を聞くのが怖くて逃げ出した私と。 私に愛されてないと思い込んで、いっそ私にひどく嫌われようと想ったこの人と。 救いようのないくらいの馬鹿二人だ。 「叢雲……俺を軍令部に訴えて更迭するなり何なり、好きにするといい…お前がいない場所なんて、どこだろうが変わらないからな」 司令はベッドサイドに腰かけ、何かもう、達観したような口調で言う。 私から顔をそむけて、私に未練を持たないようにしているんだろうと思った。 「…そうね…こういうのはどう? 代わりにあんたが、私のお願い、何でも一つ聞くの」 彼の背が、ぴくっと動く。 私が提案なんかしたことが意外なんだろう。 「…ああいいよ。深海棲艦の巣に飛び込めって言うなら、そうしよう」 「バカ。そんなこと、死んだってさせない」 司令の背中から、私はぴたっと抱き着く。裸の大きな背中が、私を抱き留めてくれてる。 「む…叢雲!?」 明らかにうろたえる彼を制して、私は伝えた。 私の「お願い」を。 「私を、あんたの新しい艦隊に入れて、今まで通り秘書艦にして。あんたのコネだろうが、何だろうが全部使って、ねじ込みなさい」 「叢雲、お前…」 司令が驚いて私に向き直る。その顎をつかまえて、私はそこに唇を重ねた。 私からのキス、私の初めてのキスだ。 キスは、とくにレモンの味なんてしなくて、唇に流れた自分の涙の味がした。 あと、司令のヒゲの剃り跡がちょっとざらざらする。 三秒くらいそうして唇を合わせていて、やっと離してから、私が言う。 「…あんたがいないとこなんて、どこへも行きたくないのは…私だって同じなんだから」 一緒よ、ずっと。 それだけ言うと、彼がすごい勢いで、私を抱きしめてきた。 むらくも、叢雲、と。私の名前を必死で呼ぶ。 いいのよ、と私は言う。 私たちお互い、馬鹿なんだから。きっとこうでもしなきゃ、伝えられなかったから。 それから私たちはしばらくの間、抱きしめ合ったままでいた。 まるで今まで足りなかった言葉を補うみたいに、ただ抱きしめ合っていた。
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341 :名無しさん@ピンキー:2014/03/27(木) 01 25 35.00 ID nnF6QNMd 陵辱モノ追撃します。 深海棲艦の拷問による摩耶様の闇堕ち。 触手・陵辱・微レズというキワモノなので苦手な方はご注意。 もし連投規制に引っ掛かったら気長にお待ち下さい。 342 :341:2014/03/27(木) 01 28 51.40 ID nnF6QNMd 右腕。左の足首。胸先。そして―― あちこちがずきずきと痛む気だるい身体の感覚に、ふと艦娘『摩耶』は目を醒ました。 (ここは…) ぼんやりと周囲を見渡す。幽かな青い燐光に照らされた荒野。不気味なほどの静けさ。 呼吸は出来る。頭上には空の代わりに、圧倒的な質量の海水。奇妙な空間。――深海。 (そうか。アタシは沈んじまったんだ) 他の気配が無い以外、状況は一切変わっていない。 限界を超えた快楽に、失禁しながら気を失ったあの瞬間から。 蒼くて深い、孤独な海の底。 両腕は赤子の手首ほどの太さの動かぬ触手に頭上に縛り上げられ、全裸の身体はごつごつとした岩に腰掛ける形で、両脚は大きく開かされたまま―― 塗り付けられた黒っぽい謎の粘液にひりつく性器、感じて感じて感じ過ぎて壊れてしまったのか充血したままの花芯までもを外気と燐光に晒されたまま隠すこともできず、まるで堅固な鎖を思わせる硬質の触手で手足を海底に絡め取られている。 撃沈のときから二日か三日か、ここで性的な玩具にされ始めてからの正確な時間の感覚はもはやない。 装備と衣服を剥ぎ取られ手足を拘束され、抗うことも死ぬことも許されず。 たった一人で異形に囲まれ弄ばれる恐怖の叫びも、肉体をなぞる無数の触手とざらつく舌から与えられた快楽に喉が嗄れるほど放ち続けた喘ぎ声も甘ったるい悲鳴も、昏い水底に飲み込まれていった。 死ねない、狂えない、兵器の強靭さと若い娘の性感の両方を持って生まれた我が身の不幸を呪わずにはいられない――ここはまさに地の底ならぬ、海底に用意された獄。 拘束する触手に多少のスキがないかと、無駄と知りつつぶらぶらと手足を揺らしていたとき。 摩耶は視線の先に違和感を認めた。暗い海の底から沸き上がるようにゆらゆらとした、空間の瞬き。 (…また来やがったか) やがてそれは、二つの異形の人型を結ぶ。 完全に実体を得た、自分を見下ろす二対の冷たい眼には、昨日の奴らとは違う感情が浮かんでいるようだ、と摩耶はぼんやりと思う。 ――コノモノセイキヨウナリテ、イマダゼツボウニソメルニアタワズ。 沈没直後の自分を拘束しその触手で散々に嬲った、鎮守府が『深海棲艦・ヲ級』と呼ぶ異形を纏った青灰色の少女が抑揚のない声を発すると、 応えるかのようにもう一人の娘――先が巨大な怪物の顔となった尾を持ち、対照的に小さな体躯を黒衣に包んだ見覚えのない個体――が、微かに笑いながら口を開いた。 ――テキカンニモサマザマアリテ、ママワレラノ"ヨリシロ"タルウツワモアルヤモシレズ。 その言葉は辛うじて理解できるが、内容は摩耶には良く理解できない。 「新しいお友達かよ…何度も言わせんな」 久しぶりに出した声。ざらざらと掠れてはいるが、まだ役目を果たせないほど壊れてはいない。 「アタシは味方に砲を向ける位なら、ここでお前らのオモチャになって狂って死ぬ方がマシだ」 二隻の深海棲艦を睨み付ける。 いつまで正気でいられるかは分からないが、せめて最期まで抵抗したい。 そんな空虚なプライドから放たれたタンカが、わずかながら自分を勇気づけるのを感じて摩耶は少しだけ嬉しさを感じる。 「…アタシはこんなもんじゃ全然満足してねぇぞ。今日は多少はテクを見せてくれんだろうな?」 ――そうだ。これでこそ、アタシだ。 ――ハンノウヲミタイ。サイドノホキユウヲモトム。 ――リヨウカイシタ。ホキユウヲカイシス。 新型の言葉に呼応したヲ級から伸びた灰色の触手が、摩耶の身体に巻き付いてゆく。 「あっ……あっ……」 反射的に、恐怖が摩耶の表情を彩る。 首筋に到達した二本の触手が、動脈のあたりを撫で始めた。 生命の急所を責められても拒否も抵抗もできない、するすると首に巻き付く巨大な恐怖に摩耶は知らず身体をすくませる。 どういう理屈なのかその状況で固く勃ち始めた摩耶の乳首を狙うように、別の触手が震える乳房に巻き付いた。 「くあぁぁぁぁぁッ…」 ぬめった感触が、まるで刺激を望むかのように淫らに色づいた右乳首をかすめた瞬間、電流のような快楽が摩耶を襲った。 触手を覆うぬめりに薬物のような作用があるのか、異様に感じやすくなっている自分の身体が恐ろしい。 「うあっ、あっ、はっ、…畜生…ッ!」 左右の乳首を容赦なく擦るように、触手が乳房をやわやわと揉み潰しながら這いずる。たったそれだけの刺激で目に涙が浮かび、達してしまいそうになる。 ばさばさになった髪を激しく揺らし抵抗を示しながらも、摩耶の肉体は更に感じやすく昂り、女陰は意志に関係なく『出来上がって』ゆく。 「くそ…胸に…触るな…!」 そこへ一本の触手が獲物のにおいを見つけ出したかのように、柔らかな太ももに巻き付きはじめ、上を目指して―― 「…やめろ…やめろぉ…そこは………ッ!!」 性器にぐいぐいと押し付けられる、おぞましい感覚。しかし必死に払い落とそうとするも両手は封じられて動かず、ただかすかに身体を揺らせるのみ。 「うあっ!?」 唐突に両足首を物凄い力で触手に釣り上げ開かされ、摩耶の秘所が上を向いてぱっくりとぬめる口をあけた。 あられもない格好に頬を深紅に染めた摩耶が何かを言う前に、露わになった秘裂の奥を目掛けて、ずぶずぶと触手が入口から胎内に沈んでゆく。 「あぁぁぁぁんッ!やだっ!やだあぁぁッ!やめてえぇぇぇッ!」 気を張っていた摩耶の何かが限界に達し、少女のような悲鳴が、喉を反らした屈辱的な嬌声が高く甘く海底に響き渡る。 「あっ、はっ、うあぁっ!」 最奥に達した触手が波打つように蠢きはじめると、摩耶の身体がそのたびに与えられる苦痛と快楽に震え、跳ね上がる。 更に容赦のないヲ級のもう一本が、異物を挿入され張り裂けそうな秘唇の上でてらてらと淫らに光る敏感な核を、ごりごりとしたその先端で圧し潰すように強く強く擦りはじめた。 「あぁん!んはぁ、ひぁあ!…もう…やぁぁぁッ!ぃ…く…ぅッ!」 背骨が折れるほど身体を反らし、白目を向いてびくびくと大きく痙攣しながら摩耶は達した。 ずちゅずちゅと、彼女自身が大量に分泌した雌汁を跳ね上げるほどの勢いで入口から最奥までの往復を繰り返す触手に、更にもう一本が加わり――容赦なく、摩耶の秘所をずぶりと貫く。 「いやあぁぁぁぁぁ――――!」 二本の太すぎる痛みが、張り裂けそうな膣内でぐねぐねと蠢く。それぞれが膣壁を擦るその感触が、摩耶を絶頂からいつまでも解放しない。 「いやっ、いやっ、ああああ――」 ぬらり、と触手の先端に子宮の入口を撫でられた瞬間、絶頂感の更に更に上、この世のものとは思えない狂気的な快感が摩耶の全身の毛孔を開かせ、眼を見開いての金切り声が自分の耳すら痛めつけた。 不安と恐怖に苛まれ、極限の快楽を流し込まれ、心臓がどくどくと痛む。 腰の奥が甘く切なくどうしようもなく疼き、脳髄には容赦なく苦痛と快感が交互に同時に突き刺さってくる。 ――やめて。もうやめて。殺して。お願い。 ひくひくとだらしなく濡れた肛門から更に一本が侵入を試みてきたとき、白くちかちかと瞬く目蓋の裏で、摩耶は本気で死を願った。 だが。 最後まで、彼女は言葉で敵に慈悲を乞うことを自分に許さなかった。 下唇を血が滲むほどに噛みしめ、耐える。 …違う。 死ぬべきはアタシじゃねぇ。 殺す。こいつら必ずブッ殺す。コロス。コロス! 「……!」 二体の深海棲艦を睨み付けた、視線。 屈辱を殺意に変えての、決して屈伏せぬ野獣の気迫を見せた、その途端―― ――リカイシタ。ホキユウサギヨウヲテイシセヨ。 喘ぎなから嬲られる彼女の恥態をじっと見つめていた新型がそう言いながら腕組みを解くと、最後まで表情を変えなかったヲ級の触手が四肢の拘束のみ残して一斉に引いた。 がくん、と解放された摩耶の身体が糸の切れた人形のように横たわった。意外に細い肩だけが、熱い息、荒い呼吸を弾ませる。 ――ドウホウニツグ。コレヨリコノモノ、トウカンノアズカリトス。 珍しい昆虫を見つけた少年のような、好奇に似た表情を浮かべた黒衣の娘が、周囲の空間に向かって何かを宣言した。 ぐったりとした摩耶へ近づき、そのまま彼女の形の良い顎を指先で軽く上向かせると、にっこりと笑いかけ―― 「――強いね、キミ」 「な…!」 流暢にして甘美な『声』。 「だからボクが、たっぷりとおもいださせてあげる。君がなぜ、何をするために産み出されたモノであるかを」 「そんな…ん、む…」 更に、驚愕に目を見開いた彼女に与えられた、甘く柔らかな口づけ。 完全に隙を衝かれる形となった摩耶の心は震え、魂は混乱する。 停止させられた白紙の思考に与えられる、温かくねっとりと口内を犯す舌使いの感覚。 暴力しか与えられなかった女の本能がその優しさに、奇妙な唾液の味に、歯髄をなぞる相手の舌の感触に、脳髄を鈍く甘く痺れさせていき―― 「……んっ」 摩耶は自分でも意識しないままに、やがてその瞳の奥の光をとろかせ、ただ柔らかく心地よい相手の舌の感触を更に味わうべく、自ら舌を絡ませていた。 それが『終わり』であるとは、彼女はもはや、考えることができなかった。 *** 『――緊急警報、メイデイ、メイデイ。哀れな戦艦『長門』さんはこれから10秒後に撃沈します。総員退避をお願いしまーす』 猫がネズミをいたぶるような、猛禽が飛べぬ獲物を嘲るような。呪わしい声が、通信録音の内容として会議室に響き渡った。 『逃げろ…提督ッ…!…うあぁぁッ!』 微かに聞こえた長門の絞り出すような声が、悲鳴に変わる。 『聞いてるかぁ?クソ提督さんとその他一同よぉ。今日がてめぇらのめでたい沈没日だ。楽しい楽しい深海に、鎮守府御一行様を全員ご案内してやるぜ』 『…何者だ。貴様』 耳障りな笑い声に、怒りと困惑の篭った提督の声が割り込んだ。 『つれないねぇ提督。この声を忘れやがったか』 『なんだと……まさか……お前、先日の戦闘で……』 『帰ってきたんだよ。アタシは深海棲艦たちの依代となって、本当の自分をやっと手に入れた――じゃ、すぐ着くぜ。首でも洗って待ってなよ』 『…待て!『摩耶』ッ!』 ぶつっ、という不吉な音と共に――おそらくは長門の運命と共に――通信は終わった。 「…対潜哨戒に当たっていた『長月』『菊月』から連絡が途絶えたのはおよそ一時間前。そして威力偵察に向かった『長門』『加賀』からのこの通信はおよそ10分前――おそらくあと30分もせず、摩…敵艦はこの鎮守府に到達する」 鎮守府内作戦会議室、緊急招集を掛けられた全艦娘に向かって重苦しい口調で伝える提督。 と、突然、沈黙を破って青ざめた顔の秘書艦『神通』が部屋に飛び込んできた。 「通信報告!『日向』『大和』、共に大破の報有り!敵艦は単艦、なお無傷の模様!」 「全力の防衛線も、まるで無力か……」 新たな報告に拳を震わせ、苦渋に満ちたその表情は、決して迫りくる破滅の恐怖に怯えている訳ではなく。 かつての部下を沈めてしまった後悔と、その後の更に哀れな運命に弄ばれる彼女のことを思ってのものであることはこの場のすべての艦娘が承知していた。 「司令官。私が出る。あの装備をまた、用意してくれないか」 僅かな沈黙の後。一人の艦娘が、意を決したかのように立ち上がった。 「…しかし『那智』、あの試験艤装はまだ調整が……それに、君の船体への…」 「他に手はない。時間もない。……それに、摩耶は私の親友だ。私が、止める」 彼女の意志も、正論も、その真剣な眼差しも、覆す術を持たない無力な提督が導き出せる解答はひとつしか無かった。 「………分かった。……彼女を――頼む」 「そんな顔をするな、提督。心配ない――あの後先考えないバカの後始末は、いつも私が押し付けられてきたんだ」 だから。大船に乗ったつもりで、待っていてくれ。 言い慣れない冗談を言いつつ頼もしい笑顔を浮かべた那智の顔を、提督はどうしても見ることが出来なかった。 「――来たか。摩耶」 鎮守府正面海域。 腕組みをして仁王立ちした那智が、水平線の彼方から現れた異形の艦娘を、殺気を込めた切れ長の眼で睨み付ける。 その右腕には、圧倒的に巨大な46センチの三連砲。 「出迎えはてめぇか、那智。御大層な装備じゃねぇか。それがお前の改ニってか?」 全身をぬめる嵐の色に染め、両の瞳を黄昏の黄金色に爛々と輝かせ。 鎮守府が空母『ヲ級』と呼称する深海棲艦と同様、半裸の身に不気味な怪物を纏わせた異形に身を堕とした『摩耶』が海上数メートルの距離に立ち、嘲るようにそう言った。 「改二ではない。私がこれを装着するのは、これが最後だ」 「お前はお高いドレスは悦ばないタイプだと思ってたぜ?」 「貴様こそ最悪に似合わん帽子だな。首が重くないのか?」 顎を軽く上げて見下しながらの那智の台詞に、下から睨み上げた摩耶が舌打ちを響かせる。 「けッ……まぁなんだっていい。この摩耶様が、五秒で沈めてやるぜ」 「お前は私が止める。『那智・最終試験改装』、推して参る!」 次の瞬間。那智が、後方に派手な水柱を上げつつ先手で摩耶に襲い掛かった。 「…ッ、バカな、なんて船速……!そのタービン音、まさか……」 「みんなが力を貸してくれたのだ――お前を止めるためにな!」 「……『島風』の動力かッ!?」 大きな弧を描き、しかし一瞬で摩耶に背後から近づいた那智が放った主砲――『大和』から譲り受けた海戦史上最強の砲撃が、海を揺らす。 「…くっ!」 「スキありだ!」 辛うじて零距離での直撃をかわした摩耶の隙を逃さず、那智の渾身のサイドキックがその身を捉えた。 速度と重量の十分に乗った破壊力が彼女の身体を大きく吹っ飛ばし、海面にその身を叩き付けた。轟音と共に、海上に機雷の爆発のような水飛沫が上がる。 やがて収まった波紋の中心、腹部を押さえて海上にゆらりと立ち上がった摩耶が、その顔に禍々しい笑みを浮かべた。 「……なにが可笑しい」 「ククク……なるほどその火力と機動性、確かに重巡の身でないと実現できないバランスって奴だ。……だがなぁ!」 一瞬で間合いを詰めた摩耶の拳を、頬をかすらせて那智がかわす。 そのまま至近距離での、格闘戦の応酬。 互いに噛み合う狼のように攻撃、視線、気迫をぶつけ合ううち、那智の表情が一瞬曇る。 「分かるぜ、てめぇの艦体がキシんでやがるのがよぉ!そんなスピードでクソ重い武器、いつまでも振り回せるはずがねぇ!こっちから懐に飛びこんじまえば――」 巧みに誘導された重量が、一気に片足に掛かる。一瞬よろめいた隙を逃さず、摩耶の強烈なタックルが那智の身体の中央を捕らえた。 「ぐはぁッ!」 思わず、那智の肺腑から熱いものが吐き出される。 異形の怪力が、放たれた矢のように海面上を一直線に那智の体を吹き飛ばした。 飛ばされたその先には――鎮守府。 中途に集積されていた資材と接触して派手に吹き飛ばし、 轟音と共にドック施設の外壁に叩き付けられ、 その瓦礫に半ば埋もれるようにして、那智の体はようやく停止した。 「くぅッ……」 「ようやく合点が言ったぜ。そんなイカレた艤装試験にお前が選ばれたのはな、たとえブッ壊れても戦力的に痛くも痒くもねぇからよ。……ちょっと早いがゲームオーバーだ、那智」 追ってついに鎮守府敷地に上陸した摩耶の周囲に、次々と深海棲艦の小型使役獣が現れる。 浮遊するその数はやがて並の深海空母の操る倍、およそ二十を越えた。 「アタシの可愛い艦載鬼たちに粉々に噛み砕かれて、大好きな鎮守府ごと――消えな」 凶悪な笑みを湛えた摩耶が、対象をゆっくりと指し示した瞬間。 飢えた野獣のように、一斉に使い魔たちが獲物に殺到した。 「あっははは!壊れろ、全て!!」 連続着弾の閃光と爆煙が視界を遮る。 やがて彼女の前に姿を現したのは四散した那智の残骸と、廃墟と化した鎮守府―― ではなく。 「バカな……」 摩耶の顔が、驚きに歪められる。 「全機撃墜されただと?あの一瞬、この距離で?!」 「……摩耶。那智は、そしてこの鎮守府は私が護ります」 「『妙高』ッ!!てめぇッ!」 晴れた視界の先にあったのは倒れた那智の肩を抱き、大型の盾を構えた艦娘――。 「野郎……艦娘にイージスシステムとは魔改造にも程があるぜクソ鎮守府ッ!」 「試作型『フェーズドアレイシールド』全域展開。――もはや指一本も触れされませんよ、摩耶」 普段は限りない優しさをたたえた妙高の視線が、強い敵意を込めて摩耶を押さえつける。 「クソッ!那智一隻なら片付いてたものを――」 「単艦では出来ないことが、艦隊ならば出来る。そんな事実も深海に忘れてきたのか、貴様」 那智が額から血を流しながらも再び立ち上がり、壊れかけた砲を構え摩耶を睨み付ける。 「くっ……おおおおオオォ!!」 ケダモノじみた咆哮を上げ、摩耶が再び背後の海上に一瞬で飛び下がった。 「面白ぇ!面白ぇぇ!この摩耶様の全弾一斉砲撃、耐えられるもんなら耐えてみやがれぇ!」 絶叫と共に摩耶の背後から蠢く巨大な十本の触手が現れ、その一本一本が大口径の砲身へと姿を変えてゆく。 「下がった!今だ『足柄』!」 「りょーかい!出し惜しみ無しで行くわよ!」 「何?!」 那智の後方。鎮守府施設屋上に、応えた艦娘が姿を現したのを摩耶は視界に捉えた。 その両肩に抱え上げた、巨大な――途方もなく巨大な、まるで『建造物』と称するのが相応しいような二つの発射装置が、自分に向けられていた。 「12式地対艦誘導弾、発射!……かーらーのー」 ズシン、ズシンと鎮守府の建物を揺るがしながら発射を終えた両肩のランチャーを捨てると、しなやかな右手が天を指す。 次の瞬間。その指示に忠実に従うように、身に纏った艤装のあらゆる場所から発射された小型ミサイルが、足柄の長い黒髪を舞わせながら次々と天へ向かう。 「VLS!行きなさい!」 「ッの野郎オオォォォォォ!!!」 足柄の指先が、砲撃姿勢を中断し回避体制に入った摩耶を指し示す。 正面からの地対艦ミサイルを辛くもかわしたところへ、頭上から艦対艦ミサイルの雨。 連続着弾による紅蓮の爆発に包まれたのは、今度は摩耶の方だった。 「ケッ……こんな小玉の花火!この摩耶様の装甲にゃ目眩まし程度で……」 「目眩ましになれば、充分です」 「!?」 爆炎も収まりかけた頃、すぐ背後から聞こえた声に、摩耶が驚き振り向く――そのとき。 両腕をがっしりと羽交い締めに固められ、振り向くことも出来ないことに気づき、摩耶は激しくもがいた。 「ちっくしょ、ステルス強襲艦仕様かッ!コソコソした弱虫のてめぇにゃピッタリだな『羽黒』ッ!…離せッ!」 「離しません!弱虫な私でも可愛がってくれたあの摩耶さんが私は大好きだったから――これ以上貴方に泣いて欲しくないから、もう絶対に、離さない!」 「誰がッ!泣いてるッてんだ!この野郎がぁッ!」 がつっ、がつっと何度も後頭部を羽黒の顔面に叩き付ける鈍い音が海上に響く。しかし顔を傷つけられつつも、決意に満ちたその細腕は僅にも揺るがない。 「ケッ!だがこんなにくっついてりゃ、他の奴等も砲撃爆撃なんざ出来やしねぇ!覚悟は結構だが、ちっと考えが――」 はっ、と殺気に気付いた摩耶が正面に意識を戻したとき。 漆黒の反り身を大上段に構えた那智の姿が、眼前にあった。 「てめぇ……そいつは……」 「斬艦刀『船切(フナキリ)』。天龍が持っていたものを、更に打ち直したものだ。――これなら貴様のみを、再び深海に葬れる」 「……ッ!」 逃げ、攻め、すべての手を封じられた。 チェックメイト。最強のはずの自分が。こんなにも、あっけなく。 「終わりだ、摩耶。――まったく、散々暴れやがって。結局また私に、後片付けを押し付けたな」 「…そう言うな、これで最後だ。勘弁しろよ、那智」 先ほどまでとは別人のように穏やかな表情を見せた摩耶に、那智のそれが驚きに変わる。 「摩耶…お前…」 「あぁ全く、サイコーに気持ち良かったぜ。兵器としての本分を全うできて、お前とおもいっきり戦えて、アタシは満足だ………泣いてんじゃねぇよ、バカ」 「…バカはお前だ…」 理由の分からない笑みが、思わず互いにつられあうように引き出された暖かくも苦い笑いが、二人の顔に浮かんだ。 ――あばよ。最期に楽しい良いケンカだったぜ。 ――ああ。来世でまた、盃を交わそう――。 視線で言葉を交わした瞬間。 迷いなき刀身の軌跡が、摩耶の頭上に振り下ろされて―― 「…はッ!?」 目覚めて勢い良く上半身を起こした摩耶の視界に入ってきたのは、 薄暗い室内、コタツの上に散らばった空きビンと空きカンと柿ピーの残骸。 思い思いに床に転がり、それぞれ上から軽い寝具を掛けられて安らかに寝息を立てている羽黒、足柄、妙高。そして―― 「起きたのか、摩耶。朝までいても構わないが、風邪を引くなよ」 窓際で一人まだ飲んでいたらしい、那智が静かな視線でこちらを見ていた。 「…こ…ここは…」 「妙高型の居室、時刻はマルフタサンマル。お前は真っ先に酔っ払って寝てしまったがたった今目覚めたところだ」 寝ボケてるのを察してくれたのか、状況をやけに細かく説明してくれる那智。 つまり…… …………夢?!夢オチ?!! え?!っつーかアレ、何? 前半はアレか、最悪、欲求不満がまぁ積もり積もってあんなカタチになってしまったとしても(最近提督も相手してくれねぇし)、 …後半は何だったんだよ?!つーかアタシ悪役似合うな!!なんか妙にイキイキしてたし!! ……な……なんかすげぇはずかしぃ………/// 「どうした摩耶?顔が赤いぞ。本当に風邪引いたんじゃないだろうな」 すっ、と那智の手が額に当てられる。ぼっ、と火がついたように顔が一気に熱くなる。 「い、いやいやあのあのな?だ、大丈夫で、だからその、」 「熱はないようだが。自分の部屋に帰って寝るか?」 「いや、…大丈夫。…今日はお……ここで寝る!」 お前らと一緒にいたい、と危うく出かけた言葉を飲み込んで、摩耶はばさりとコタツ布団に潜り込んだ。 「変な奴。ま、好きにしてくれ」 「なぁ那智よぅ。……お前さ…おもいっきり暴れたい、とか思ったことある?」 「なんだ。面白い夢でも観たのか」 あぁ。傑作だぜ、今日のは。 口の端がにやりと歪むのを、我慢することができない。 夢。夢だった。全部。 嬉しいのか。楽しいのか。単に酔っぱらったか。…うん、それだ。最後のに違いねぇ。 「あのな…」 ――なんだかんだで最高に幸せな、自分の日常。 その夜は、心ゆくまでそれを噛み締めた摩耶だった。 (FIN.) +後書き 349 :341:2014/03/27(木) 01 46 36.19 ID nnF6QNMd 以上、エロパロで何書いてんだという感じですが後半は中二的展開を貫いて満足しました お目汚し失礼しました 350 :名無しさん@ピンキー:2014/03/27(木) 01 47 44.32 ID rylXQN17 あ、ありのまま今起こった事をはなすぜ 珍しい麻耶様のエロが始まったと思ったらスーパー艦娘大戦が始まった… なんにせよ乙、強がりながらも最終的に少女な面を出しちゃうとか最高やないか…
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和輪姦を自分なりに頑張ってみた。 一応、輪姦+メタ嫌いの人はスルーでお願いします。 霧の艦隊は去った。つかの間の平和が訪れた、かに見えた我が鎮守府。 突如起きた奇怪な現象によりその平和は脆くも崩れ去り、暗雲立ち込める事態になってしまったのだ。 我らが提督が分裂してしまった! この異常事態に鎮守府は原因を特定すべく去った霧の者との接触を図り、原因を突き止めたのだった。 ヒュウガ「ナノマテリアルが原因じゃね?対応?エロパロ的にナノマテリアルの残量エネルギーをエロ的な行為で切らせれば元に戻るよ、うん多分」 なんとナノマシン(大本営発表)の暴走とエロパロ的謎の力が融合し、このような事態が引き起こされたという。 と、うまい事要因と対応が判明したのだった。やったぜ。 そこで我らが艦娘達が出した結論とは… 「なるほど。では提督に好意をもつ艦娘が分裂した提督の相手をし、射精させればそのうち元に戻る、と…」 その案に反対を表明したのは意外にも金剛であった。 「Noooo!!!!提督が私以外の艦娘と関係を持つなんて耐えれないネ!!私が全員の相手をするヨ!」 一人目の提督を部屋に招き、結ばれる金剛。しかし、初心な金剛では歴戦の勇士提督1人を満足させることしかできなかったのだ。 「あひ…ン…も、もう…提督ゥ、私、ま、またイっちゃ…アァあン!…ハァハァ…え、4回戦?ひぁああッ!?」 提督のテクに敢え無く散る金剛。 そんな金剛のイキ様を姉妹達が傍観するはずは無かった! 「提督は!」「私達姉妹が!」「満足させます!!」 そう。比叡、榛名、霧島の三名が参戦したのだ。 「痛ッ…あ、はいッ…大丈夫、です…。て、提督、比叡のココはどう、ですか…?え?お姉様と同じくらい気持ちいい?う、嬉しい…お姉様に近づけた気がしま…ひィん!」 破瓜による痛みを優しく気遣う提督。 「で、でも嬉しい…提督に初めてを捧げれたから…んっ、え…や、何これ、こんなの知らない…ッ!や、怖いよ、提督変になっちゃ…!ああああ!!」 初めての絶頂を迎える比叡、金剛と同じく提督一人に散る。 「榛名でよければお相手しましょう!大丈夫です!提督に躾けられた技でいつものように提督を満足させてみせま…え?3人同時?ひゃアん!///」 提督3人による波状攻撃。それを舌、腰をうねらせ対抗する榛名。 「どうですか…?提督、榛名は気持ちいいですか?んッ…あぁっ!んむっ…!」 「へえ…提督。榛名にもそこまで仕込んでたんですかァ…」 目の前に差し出された肉棒をジュボジュボと激しく貪り、提督を満足させる霧島。 「フフ、でも私しか知らないみたいですね?提督は責めさせると強いですけど、責められると弱いって…」 さらに差し出された肉棒を激しく、しかし弱いところを適確に責める霧島。 「さぁ、提督の赤黒いマイクからたっぷり搾り取って差し上げます。…んぅッ!す、凄い量…どうですか…生意気な私に白濁とした欲望で穢した感想は…?」 顔中にべっとりと付いた白濁液を指で掬い舐め…とろとろに溢れた蜜壷を指で開きながら雌の目で目の前の提督たちを誘う。 「さぁ…提督?こんな生意気なコトを言う艦娘、お仕置きしなきゃいけないって思いませんか?さぁ…たっぷりこの霧島に注いでくださいませ?」 金剛四姉妹にだけ負担をかける訳にはいかない! 「戦艦扶桑、推して参ります…!」 提督に歩み寄る扶桑。しかし運命の悪戯であろうか。不幸にも提督の前で転倒し、何故か持っていた縄紐とたまたま持っていた目隠しが偶然にも彼女の身体を拘束する! 「ああ!こんな、拘束された姿で提督にお仕置きをされたら私…私、調教されて提督の性奴隷にされてしまうわー不幸だわー(棒読)」 戸惑いを隠せない提督。ちょっと関わりたくない。 ………間。 「ああ!何てことでしょう!こんなはしたない格好をきっと提督は視姦してるに違いないわ…!焦らされて私…私…!」 どん引きではあるものの、何かを諦め、察した提督はその熟れた尻を掌で叩く。 「あひィんvvvvて、提督ぅ!この雌豚扶桑をッ!たっぷりと調教してくださいィ!ひィんvvvv」 扶桑の望む言葉攻めをしつつ尻を叩く提督の目は何故か光を失っていたという。 この後は陸奥や武蔵のアナルネタに移行しようと思ったけど眠いのでおしまい。
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前回の話 「今日の戦艦の防御力は凄かったね~……」 北上が納得の行かない演習結果に疲れたようにぼやく。 「完っ全に作戦が悪かったのよ……」 戦術的には勝利判定となったのに大井も不満気だ。 「………」 その二隻の小言に挟まれる指揮官の自分は、少しではあるが肩身狭さを感じ反論は一つもできない。 練度をひたすらに極めた相手艦隊の戦艦はデータ上は低速であるはずだが、 装甲の厚さと侮れない回避力を前に決定的な打撃を与えられなかったのだ。 それに加え、嘗ての海軍に見限られる程に魚雷とは元来命中率の低い艦装であり、 努力で完全に克服できる柔な宿命ではない事も熟知しているつもりだ。 かと言って本当の意味での重雷装艦とさせた魚雷のみの大井と違い、 比較試験のため片腕に主砲を残している北上が大井よりも良好な戦果を挙げたかと言えばそれもまた難しいもので、 果たして此奴らはどのように運用するのが正しいのか、 長い目で見てきても未だに結論付ける事が出来ないでいる。 北上が言うように此奴ら重雷装艦とは甚だ扱いが難しい船で、戦艦のように単純明快とはいかない。 それでも何故此奴らを使い続けているかと言うとそれは自分の趣味でしかなく、 此奴らにその事を尋ねられた時は何時だって重油を濁してきた。 特に練習艦として使われ続けるうちに作戦内容に敏感になっていった経歴を持つ大井の前でそんな本音をほざいてみろ。 冷たい魚雷でぶん殴られ木の床に沈められるのは目に見えている。 「あらやだ。北上さん、碌な作戦も考えられない提督ったら何も言えないみたいね」 「まあそう言わないであげなよ。提督も提督なりに考えてるんだからさ、って……」 「……やっぱり何も考えてないんじゃないんですか? 提督笑ってますし」 しまった、顔に出ていたか。 私の顔なんか見上げていないで二隻だけで和気藹々と駄弁ってくれればよかったものを。 「笑ってない。作戦は真剣に考えているつもりだ」 焼け石にバラスト水であろうと、念のため取り繕っておく。 次に聞かれたら重油をどう濁すのが格好付くか、とか、 これだから重雷装艦は面白いだとか考えていたのがばれるのは此方としては面白くないのだ。 「いや笑ってたよね」 「笑ってましたね誰が見ても」 「笑ってない」 「笑った!」 「笑いました!」 「笑ってない!」 ああもうゲシュタルト崩壊するからやめてくれ。 馬鹿みたいな言い争いを繰り広げながら廊下の右への曲がり角の一つで立ち止まろうとする。 すると。 どんっ! 「うわっ!」 曲がり角の側を歩いていた北上に突然衝突された。 衝突と言っても小突くような程度のもので、自分に被害はない。 北上はその後よろめいて尻餅を付いた。 正確には、北上に衝突されたと言うより……。 「いったー……」 「ううぅ、またやっちゃ……え?」 同じく床に座り込んで頭を押さえ唸っているのは、軽巡阿武隈であった。 どうやら自分らが五月蝿く騒ぎ立てていたせいで、阿武隈が廊下を走っていた事に気付けなかったらしい。 "廊下を走るな"の貼り紙を"廊下は静かに歩け"と書いたものに変えるべきかもしれない。 阿武隈が掟を守る気がないのか、貼り紙に気付かないのかは定かではないが、どちらにせよ効果は薄そうだ。 「き、北上さん、と、大井さん……」 貼り紙だけでなく私も見えないのか。 書いた者の存在感が薄いと貼り紙もそうなるのか。 怒っていいか。大井が。 「阿武隈ちゃん? "廊下は走るな"って、書いてあるわよねぇ?」 突き当たりの壁に貼られたそれを指差してくれる。 ありがとう大井。大好きだ。 「乱暴な字ですけど」 五月蝿い。 時間が推している時に何枚も手書きした物だから諦めろ。 座り込んだまま次第にこの世の終わりを悟ったような顔に変化していく阿武隈と、それを修羅の顔で見下ろす大井。 それは、何処から見ても蛙と蛇の図だった。 「ご、ごっ……、ごめんなさああぁぁい!!」 耳をつんざく大音量で放たれた謝罪の言葉が、ドップラー効果を持ってこの場に残る。 音爆弾の艦装は載せていない筈だが。 つまるところ、阿武隈は北上に当て逃げしていった。 せめてこの場で止まって謝罪していれば擁護する余地もあったのだが。 ところで、来た道を脱兎の如く全速力で戻って行ったが、阿武隈は何の用事があったのだろう。 「よくも北上さんを……、うふ、うふふふふ……」 「こら、美人がしちゃいけない顔になってるぞ」 演習を終えてすぐ艤装を下ろしていなければ阿武隈に攻撃していそうであった大井を窘める。 修羅を思わせる顔の歪め方をしていた大井は私の言葉にきょとんとし、 一呼吸置いて満更でもなさそうに少しだけ顔の歪みを戻した。 「……美人? そうですよねー、堅物気取りでヘタレな提督を骨抜きにしたんですからねー」 「あのな」 合ってるけれども。 「……いちゃついてないで助けてくれないかな」 「いちゃついてませんよ。……北上さん、立てる?」 大井は姉妹艦を心配するのみの顔付きに変化させ、手を差し伸べた。 大井の手を取り起き上がった北上の装甲は少々傷ついている。 「あーもう小破しちゃったよ。せっかく入渠したのに……」 この後すぐには出撃命令は出さないから、もう一度ドックへ行くか明石の世話になってきなさい。 ただ高速修復材の使用は控えてくれ。 あまり時間もかからないだろうし、何よりこんな下らない事故で一々使っていられない。 兎にも角にもあの阿武隈には後で私から言っておくから許してやれ。 「え? あの娘のところに行くんですか? …………」 どうした。自分で手を下さないと不満か。 「あんな娘の元なんかに……、いえ、何でもないの」 大井は取り繕うようにやけににっこりと笑って艦首を振る。 一先ず自分はこのまま執務室に行くから、大井は北上を連れて行ってやりなさい。 「いいよ、小破なんだからあたしだけで」 「駄目よ、また何か起こるかもしれないわ。守ってあげるから一緒にドック入りましょう!」 ドックまで連れて行ったら大井は戻るんだぞ。いいな。 「ッチ」 おい。 あの後阿武隈の部屋を訪ねてみたが、阿武隈は不在だった。 大井に襲撃される事でも恐れて逃げたか。 仕方なく執務室に戻り、演習前から置き去りにしていた書類に手を付けていると、扉が叩かれる音が響く。 「大井、戻りました」 うむ。 では早速で悪いがそこに分けておいた書類を処理してしまってくれ。 自分は此方の束に集中したい。 「分かりました。さっさと終わらせましょう」 そう意気込んで大井は私の隣に座り、筆を握る。 私の任務は小一時間かかりそうだが、大井の方は半時間もかからないだろう。 共に黙り込んで紙の束を消化していく。 自分の見込んだ通り、大井は時間をかけずに素早く消化してしまった。 やる事がない大井は姿勢を崩しながらも健気に私の作業の終焉を待ってくれる。 特に喉が渇いてはおらず、お茶淹れにも断ったので尚更退屈そうだ。 それからまた数分そうしていると、視界の端で大井は突然ぶつぶつと何事か呟き始める。 「北上さん、大丈夫かなぁ……。私がいないと心配だなぁ……。 うん……、心配……きっと、そう、きっと何か起きてる! 私、行かなきゃ! …………」 …………。 何なんだ。 その、ちらっと此方を伺うような横目は。 返事でも求めているのか。 何を返せば満足なのか。 あと少しかかるから、それまでは好きにしろとしか言えない。 集中しているのだから。 すると、まるで代わりに答えるように鳩時計の針やら歯車やらの機械音の後に鳩が鳴く。 「……あらやだ、ヒトナナマルマルです。もうすぐ夕食の時間ですね。私、ちょっと夕食の仕込みしてきますね」 む? 間宮の手伝いでもするのか。 出来ると言うのであれば行ってこい。 しっかり頼むぞ。迷惑はかけるなよ。 「言われるまでもありませんよ」 大井が出て行ってから、暫くして本日付の執務は粗方片付いた。 後は余裕があれば片付けた方がいいものもあるが、集中力を切らした自分は食堂へ足を運んでいた。 騒がしい食堂の厨房には割烹着に身を包んだ間宮と大井の姿が。 大井が持っているその蓋付きの鍋の中身は何だ? 「勿論、愛情たっぷりの、大井特製カレーです!」 ほう、カレーか。 今日は土曜日ではないが、良かろう。 実際土曜日にカレーを作るなんてのは、多くの兵が艦上で何日も過ごす事のある海軍の名残りでしかないから構わない。 ではその愛情を香辛料にしたであろうカレーを貰おうじゃないか。 そういえば北上の姿が見えないが、修復はまだ終わらんのか? 「あ、いえ。それが、北上さんにもあげようとしたら、もう夕食は済ませたって……」 それはそれは、残念だったな。 まあ安心してくれ。 大井の有り余ってしまった愛情は私が全部頂く。 私と北上にしか食べさせる気がなかったのか、そのくらいの鍋ならおかわりすれば完食できるさ。 早速よそってくれ。 「はい。では、そこの席で待っていてください」 そう言って大井の目線の先の席とやらを見る。 そこは二人用の小さな席がぽつぽつある食堂の入り口付近で、 多くの艦娘が陣取る海を一望できる窓際辺りと比べると閑散としている。 あそこじゃないと駄目か? 間宮の作業場が見えるカウンターか海が見える窓際近くがいいんだが……。 「だ、駄目です。あまり騒がしいところは好きませんので」 むう。まあ良かろう。 そこまで執着はしない。 素直にその席につき、大井はテーブルに鍋を置きまた引っ込む。 今度は割烹着を脱ぎ、白飯を盛った皿を持って現れた。 同じように大井も対面した席につき、鍋の蓋を開ける。 すると、厨房で歴戦を繰り広げた証である湯気と香りが立ち込める。 今日もカレーは美味そうだ。 「"は"とはどういう意味ですか。頭にぶちまけますよ」 一々細かいところに突っ込むな。 大井の愛情を頭から被るのは悪くはないが、これは愛が情熱すぎて火傷を負ってしまうからまた別の機会に頼むぞ。 では頂くとしよう。 「はい。召し上がれ」 薔薇を思わせるにっこりとした笑顔で許可を頂いたので、白飯とカレーを掬ったスプーンを口に運ぶ。 米特有の甘みを持つふっくらしつつも立った白飯と、辛過ぎない程度に食欲を促進させてくれる香辛料の入ったカレーは、 自分好みに調理されている味で毎度ながら感服される。 一口目を咀嚼して飲み込んだ後、大井は最早聞き飽きたであろう短い賞賛の科白を今日もつく。 よく出来ている。美味い。 「美味しい? そうでしょう?」 嗚呼、具も柔らかく煮込まれている。 完璧だよ全く、カレーはな。 「一言多いです。文句言わず食べて下さい」 言われなくとも二口目を運び、大井を観察する。 テーブルに両肘をついて頬に手を当てる大井は、 美味しいと言ってやれば嬉しそうに目を細め、今のような戯言を言ってやるとむっとして口角を下げる。 内に秘めるように普段微笑を浮かべていながらも、実際はこうしてころころ表情を変えるから面白いものだ。 二口目も飲み込み、すうっと流れる後味の中、自分の味覚は何時もと違う何かを感じ取った。 大井、隠し味か何か入れたか? 「あ、分かりますか? 隠し味を入れてみたんですよ」 ほう。自分はそういった試みに挑んだ事が無いから分らないんだが、何を使った? チョコレートか? 牛乳か? 「愛情を入れました」 自分は、がくっと少し首を横にずっこけさせた。 それはさっき聞いた。 そうじゃなくて、何か別の食材でも入れたんじゃないのか。 「はい。いつもお疲れの提督の為に、元気になるものを入れました」 「ふうん……」 漢方薬か何かだろうか。 心遣いは身に染みるが、カレーの隠し味には はっきり言ってしまうと合っていない。 しかしカレーの味を壊す程不味くもないので、自分は気にせずまたスプーンを口に運ぶ。 話は変わるが大井よ。 お前は食べないのか。 「え……。私はいいんですよ、提督のために作ったんですから」 なら一口やろう。 ほら、あーんだ。 「い、いやっ、私は……」 どうした。 何故差し出したスプーンから逃げるように身を引くんだ。 料理の基本である味見も毒見も行ったのだろう? 不味くないから大丈夫だ。 大井が食べないで私だけ呑気に食べてはいられない。 ほら、口を開けてくれ。 「で、でも……」 ははあ。 もしや間接キスでも気にしているのか? それ以上の事をやってきてこんなので恥ずかしがるとは、大井は乙女だなあ。 「恥ずかしがってなんかいませんよ!」 だったら一緒に食べような。 ほら。 「……ぁ、あーん……」 大井は自分で作った癖に、 まるで苦手な物でも食べる子供のように目を瞑ってスプーンのカレーを口で受け取り、不安そうに口を動かす。 何を怖がっているんだ。美味しいだろ? 「お、美味しい、です……」 そうだろう。 私の為に愛情込めて頑張って作ってくれたんだから、不味い訳が無いんだ。 この分だと鍋の方も冷めるまでに食べ尽くせるな。 このカレーは二人で食べてしまおうな。 ではもう一度。あーん。 「そんな……」 何か言ったか? 此方から口に入れておいて悪いが、よく聞こえなかった。 「んくっ。い、いえ、何でもないの」 そうか。ならさっさと食べてしまおうな。 遠征部隊もそろそろ帰ってくる頃だ。 そう言って自分は腕時計を気にしながらカレーの咀嚼に勤しんでいた。 その隙に、大井が恨めしげに何事か呟いていたのを自分は全く気付けなかったらしい。 「ううっ、どうなっても知りませんから……!」 さて、それからというもの自分と大井で手分けして時間もかからずに一つの皿を二回空けた。 のだが、自分の身に異変が生じていた。 別段激辛のカレーを食べた訳でもないのに……。 「はぁ、体が熱くなってきた? そうでしょう、ね……。はぁ……、はぁ……」 そうなのだ。 体の中を熱が疼く。 運動していないのに息が荒い。 屋内なのに汗も滲み出ている。 そして何より、同じような症状が出ている大井が、何故かとても扇情的に映える。 一応断っておくが、自分は時と場所を考えずにこんな情を抱く獣のつもりはない。 大井も途中から自棄になってカレーを食べていたが、お前は本当に何を入れたんだ……? 「言ったでしょう……。ん、提督が"元気"になるものって……」 まさかとは思うが、もしかして。 自分がやがてある一つの答えに行き着き、口にする前に大井がゆっくりと立ち上がる。 テーブルに両手を突いてやっと立ち上がった大井はふらふらになりながら私の肩に縋り付き、 私の耳元で妖艶に何事か囁きかける。 「早く、はぁ……、早く、はぁ、行きますよ、執務室……」 大井が食堂の入り口から近い席に座るよう指示したのは、この為だったのだろうか。 自分も、そろそろ我慢が限界を迎える。 …………………… ………… …… 共に危ない足取りで執務室に引き篭もり、施錠した。 カレー鍋も、食器一式も放置してきてしまった。間宮よ許してくれ。文句なら大井に頼む。 残った理性の欠片はそんな事を遺言とし、弾けた。 執務室の扉に大井を押し付け、次々と口付けを落とす。 「っ、はぁ……。好きですね、提督も……」 「"も"ってのはどういう意味なのかな」 「一々拾わないでくれませんか……」 知った事か。 お前にだけは言われたくないね。 同じ物で塞がれれば物言えなくなると思うが。 「黙ってて下さい。ちゅう、ちゅ……」 首を伸ばすようにして私の口に大井は吸い付く。 大井の柔らかい両手が私の顔を包む。 まんまと嵌り、共に戯言をきけなくなり、部屋には夜戦の始まりを告げる音だけが響く。 「っぱ、はぁ、はぁ……」 やがて口を離した頃、大井は体を完全に扉に預けてしまっている事に気付いた。 自分も両手を扉に預けてやっと足を床に支えている状態だ。 「はあ、ほら、向こう行くぞ……」 「……っ」 大井は顎を引いた。 私の肩にしがみ付く手を取り、更に奥の私室へ連れ込む。 寝具に飛び込み、事を再開した。 装甲の乱れた大井の扇情的な姿に堪らず、色んな場所に口付けを落とす。 まず、足。 「はぁっ……。提督、んっ、そんなところにして、楽しいですか……、んっ……」 聞かず唇を押し付け、吸い付く。 十数秒もそうしていると、いい具合に白い足に跡が付いた。 周辺に幾つも付けていく。 気が済んだら、次に、腹。 「ぅ、ん……、んっ、臍に、興味があるんですか……?」 次に、手の甲。 「っ、ふふ……。はぁ、気取らないで下さいよ……」 次に、首筋。 「っあ……、はぅ、うぅ……」 最後に。 「っ、やっとですか、んむ、……ちゅ、ちゅ、ぇる……はぁ、ちゅる」 自然と共に口を開き、小さな舌を絡める。 情はどんどん深まり、口だけでなく互いの首が互いの腕で繋がれ、足も縺れ合う。 身を引き寄せ合い、互いの熱を共有する。 大井のボイラーは自分に負けずひどく熱い。 あのカレーは殆ど半分ずつ食べたようなものだからな。 特に熱暴走がひどいのは下腹部だ。 自分の考えている事を読むように、大井の手が私の局部を布越しで擦る。 「ちゅく、っあ、はぁ、はぁ、提督の魚雷、もう硬くなってるじゃないですか……」 誰の所為だ誰の。 責任取れよ。 「ふぅ……、んん、こんなつもりじゃ、なかったんだけどね……」 「責任取って、処理してあげます……。私だけが、ね……」 …………………… ………… …… 「どうしたの大井っち、前の服なんか着て」 「え、北上さん!? えと、気分よ、気分……」 午前。 やっと昨夜ぶりに邂逅を果たした北上が、大井に話しかける。 臍部分が隠れる以前の装甲に身を包んだ大井は、後ろ指でも指されたように僅かに飛び上がった。 「なんでずっと魚雷つけてるの?」 「え、こ、これは……。そう! 昨日北上さんに衝突した艦に制裁を与える為よ!!」 大井は仇討ちに燃える修羅を演じているつもりか、腕を突き出す。 しかし説得力がない。何故なら。 「じゃあなんで補給してないの?」 「えっと……、暴発したら危ないじゃないですか!!」 魚雷が一門も装填されていない発射管を見せられて、誰もが疑問を持つ筈である。 見事に打ち破られた大井は最早言っている事が支離滅裂であった。 その横で自分は知らぬ顔を貼り付けつつ、自分は北上と同じように大井に疑問を突っ込む事もしなかった。 真実は自分と大井しか知らない。 朝になって我に返った自分らは、体のあちこちにできた夜戦の痕跡である赤い印をどうにかして隠す事に奔走した。 自分は元々袖も丈も長い服装なので今まで通りの格好で良いのだが、 それなりに露出がある大井はそうも行かない。 大井の首筋は長髪に隠れるから良いとして、足、腹、手の甲に私がつけた印をどうするか。 議論の結果、腹まで隠れる装甲に変更し、足と腕に艦装を施していれば隠れる事が分かり、今に至る。 これに阿武隈への仇討ちの意志は全く含まれていなかったが、北上の言葉で大井は思い出してしまっただろう。 本当に仇討ちを遂行しかねない。 阿武隈よ南無三。 これに懲りて金輪際廊下を走らない事だな。 唯、刑執行人が大井の場合だと金輪際走る事が出来ない体にさせられそうである。 そのブレーキ役となるべく、今日は一日一緒にいるとしよう。 「はい、提督にオムライスです。……え? いやだ、愛情以外何も入ってませんよ。うふふ……」 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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登録日:2022/03/31 (木) 23 01 00 更新日:2022/04/01 Fri 20 34 32NEW! 所要時間:約 11 分で読めます ▽タグ一覧 イベント海域 ナ級祭り 空母棲姫 艦これ 艦これアーケード 飛行場姫 駆逐棲姫 高難易度 いいですか、落ち着いて聞いてください。 1MYBフレームとグッズを狙っていたあなたの財布は、既にジリ貧です。 艦これアーケードの期間限定イベント海域。 開催期間は2022年3月17日(木) 7 00~ 4月12日(火) 23 59までを予定している。 - 目次 【概要と海域の特徴】 【この海域にて追加されたシステム】◆戦況変化 【特効艦娘一覧】 【報酬関連】 【海域一覧】E-1 E-2 E-3 掃討戦 【概要と海域の特徴】 2021/3/15にC2機関のツイートとアーケード公式にて発表された、ブラウザ版のそれをモデルとしていないオリジナルのイベント海域。 アーケードオリジナルのイベント海域は今回で三回目の開催となる。 今回のイベントは通常の戦闘と輸送作戦が混在したE-1~3で構成される、合計3海域の構成となっており 連合艦隊を編成する海域や、ダブルゲージ、ギミックゲージの類は採用されていない。 各海域は通常海域の5-3と同様に1つの海域で2通りの作戦が設定され、どちらか片方を選んで戦力ゲージを減少させて作戦を進めていく。 戦力ゲージは1つの海域で共有しているためどちらの作戦を選んでも構わないが、敵編成や出撃制限、ドロップテーブルに関しては作戦ごとに異なっている。 また、アーケードでは数少ない甲乙丙難易度の設定がされていないイベント海域でもあるが 後述するシステムにより、違った形で難易度が設定される仕様となっている。 なおこの項目では便宜上、海域タップ後に表示される左側の作戦を「E-〇-A、作戦A」、右側の作戦を「E-〇-B、作戦B」として表記する。 【この海域にて追加されたシステム】 ◆戦況変化 作戦進行の状況による戦況の変化。具体的には戦闘結果により3通りの戦況が用意され、敵編成や敵旗艦のステータスに変化が生じるシステム。 例えば初期の状態では「敵戦力ニ変化ナシ」、という実質的な難易度乙の敵編成となっているが S勝利が続くと高難易度の編成、隻数となる「敵艦隊ノ増援ヲ確認」という、難易度甲に相当する敵編成に修正されたうえでの出撃となる。 「変化ナシ」の状態でもD~E敗北が続いた場合は「敵戦力ノ漸減ヲ確認」という、実質的な難易度丙による出撃となり この難易度でS勝利が続いた場合は「変化ナシ」に難易度が戻る…ということになる。 勝利や敗北でどの程度難易度が変動するかは不明だが、道中から主力艦隊まで完全勝利Sを貫いた場合は、ほぼ確実に難易度が上昇する模様。 最初から難易度が選択できないデメリットがあるものの、沼る心配や甲種勲章を気にする必要がなく、配布される報酬も全ての提督が同一になっている。 【特効艦娘一覧】 ◆E-1 駆逐艦 朝霜、清霜、霞、神風 軽巡洋艦 大淀 重巡洋艦 足柄(E-1-Aのみ) ◆E-2 駆逐艦 初風、雪風、天津風、時津風、浦風、春雨、神風 水上機母艦 千歳 ◆E-3 駆逐艦 曙、潮、初春、初霜、霞、長波、朝霜、清霜、島風、春風 【報酬関連】 今回は新艦娘として神風、春風が参戦し、限定フレームは本イベント海域での邂逅に限り 番傘と桜の意匠が描かれた「船団護衛作戦フレーム」が排出されるようになる。 例によって建造では同フレームの対象とはならず、大和や大鳳などのフレームカードは排出されない。 【海域一覧】 E-1 詳細 ・南西海域哨戒(消費GP300) ☆6 作戦A 南西海域の哨戒を実施する! 哨戒部隊、出撃せよ! E-1-A出撃制限:なし 作戦Aは道中に潜水艦が出現せず、軽巡ツ級elite旗艦や重巡リ級改flagship旗艦、軽母ヌ級改flagshipの艦隊が登場する 戦艦の出番こそないもののこの時点で火力の高さを感じさせられるが、駆逐ナ級後期型も目立つようになるので従来よりも攻略に時間を要する可能性もある。 主力艦隊旗艦は軽巡ホ級flagshipだが、2番艦以降はエリツや駆逐ナ級後期型eliteで固められており、近距離時での火力が高くなっている。 ホ級の場違い感よ ただ、消費GPが少なく最短2周で攻略が可能なので、攻略はしやすい。 作戦B 南西海域の哨戒を実施する!敵潜水艦群を 捕捉。対潜哨戒を実施せよ! E-1-B作戦出撃制限:軽巡1隻以上、駆逐艦2隻以上 作戦BはAとは違い、敵編成は潜水艦のみが出現する海域となっており 道中に潜水ソ級eliteを旗艦とした4~5隻編成の艦隊が4隊出現する。 軽母や水母を編成に加え、道中2~3艦隊を狩れば2周で突破できる海域なので、航空攻撃で事前に出鼻をくじけば早期に決着を付けることも可能。速度を我慢できるなら伊勢型改二の5スロに対潜機体を満載するのもアリ。 主力艦隊旗艦は潜水ヨ級flagshipで、増援難易度の場合は6隻編成となるため時間がかかることもあるが、戦い方に変わりはないので 対潜戦闘に慣れていれば難しくはない海域となっている。周回ついでに新艦娘のレベリングも十分可能。 なおE-1のドロップテーブルはE-1-Aに大淀、香取、鹿島、明石、伊401といったレア枠が採用され E-1-Bはそれら艦娘が出ない代わりに、照月、初月、速吸と邂逅する機会がある。 報酬は12.7cm連装砲A型×2、家具コイン200、特注家具職人。周回クリア報酬で家具コイン100 E-2 詳細 ・発令!船団護衛作戦(消費GP400) ☆8 船団護衛作戦が発令された!戦略重要 拠点へ向かう輸送船団を護衛せよ! E-2-A出撃制限:駆逐艦2隻以上 E-2-B出撃制限:軽巡1隻以上、駆逐艦2隻以上 TP値:570 作戦A 道中は軽巡へ級flagshipや駆逐ハ級flagshipでTP値を稼ぐことも出来るが、中には空母ヲ級lagshipや戦艦ル級flagshipなど輸送作戦には厳しい艦も含まれている。 理論上は初期TP値80以上に調整し、道中全滅、海上のドラム缶全回収とした場合は2周で突破が可能だが、残り時間との戦いも念頭に置かなければならない。 主力艦隊旗艦は揚陸地点からおよそ8時の方向に出現する潜水ソ級elite。増援の場合はまた6隻編成の潜水艦隊が相手となる。 道中艦隊への火力と主力艦隊への対潜の両立といった点から、伊勢型改二を編成すれば比較的楽に突破することが可能となっているが 1戦闘当たりの航空攻撃の手数も考えると、駆逐艦や軽巡の対潜装備も要調整。 ドロップテーブルに採用されている艦娘は吹雪型、雪風、初月、千代田など。 作戦B 道中は潜水ソ級の潜水艦隊2隊に、フラル旗艦、輸送ワ級flagship旗艦の編成が待ち構えており 一見TP値が稼ぎやすいように見えるが、時間がかかる対潜戦闘に高耐久な輸送艦、ル級旗艦編成を考えると作戦Aより足止めの要素が強い。 ではこの編成を突破した先に待ち構える編成はというと… 主力:水母棲姫(耐久680、先制雷撃あり)、空母ヲ級改flagship×2(装甲ゲージあり)、軽巡ヘ級flagship、駆逐ロ級後期型elite×2 随伴:空母ヲ級改flagship(装甲ゲージあり)、空母ヲ級flagship、重巡リ級flagship、軽巡ヘ級flagship、駆逐ロ級後期型×2 編成だけなら過去のイベント海域でもありがちな面子だが、問題はこの海域が輸送作戦という事…。 普通に戦うだけでも高難易度であり、上記編成に対して輸送作戦を考慮した装備と編成で挑むことになる…という苦行が待ち構えている。 輸送作戦ではS勝利を取らなければ出撃中に稼いできたTP値は削られてしまい、そういった点でも急激な難易度の上昇を感じさせられるが 勝てるのであればともかく、選ぶとすれば残りTP値が少ない時に止めを刺す意味合いで出撃すれば、装備枠にも余裕ができるかも知れない。 安定した突破を実現したい場合は作戦Aを選択することが定石となるが、作戦Bのドロップテーブルは 浜風や島風、天津風、秋津洲などが採用されており、彼女たちのフレームカードを狙う場合は本作戦の選択が必須となる。 報酬は12cm単装砲改二x2、戦略ポイント500 周回クリア報酬で戦略ポイント200 E-3 詳細 ・春風船団を護衛せよ!(消費GP450) ☆10 泊地あり 出撃制限(両作戦共通):軽空母1隻以上、軽巡1隻以上、駆逐艦1隻以上 作戦A 敵飛行場より敵機が発進している模様。 敵基地を撃滅し春風船団を護り抜け! 作戦Aの道中は潜水艦が出現せず、軽巡ツ級elite旗艦、戦艦ル級elite旗艦、空母ヲ級elite旗艦、空母ヲ級flagship旗艦の艦隊が出現するが 全ての艦隊の駆逐艦枠に対し、駆逐ナ級後期型や駆逐ナ級後期型eliteが採用されている。 ナ級後期型はアーケードでも例にもれず装甲と火力、耐久がツ級並み、雷撃は100を超える安定の艦種詐欺艦だが、近距離サークルに入らなければ砲撃される心配はない。 そして作戦内容にも記載の通り、主力艦隊旗艦は飛行場姫。 主力:飛行場姫(耐久630)、護衛要塞(耐久166)×5 随伴:駆逐棲姫(耐久370)、軽巡ツ級elite、駆逐ナ級後期型elite×4 編成はこのように飛行場姫は代わり映えしないものの、随伴艦はヲ級でもル級でもなく、イベント常連の駆逐棲姫が随伴艦隊へ参戦する。 彼女は過去の例で行くと制空を取り、特効駆逐などに水上電探を装備させて命中率を底上げする戦法などが取られていたが、問題は「陸上型敵艦の随伴」に参戦しているという点。 味方編成は必然的に対空CI要因、そして三式弾やロケランなどの対地装備で固めた艦娘が必須となり、電探を装備する枠が確保し辛く また僚艦のナ級後期型もニ級ほど簡単に沈まないばかりか、駆逐棲姫の雷撃カットインの対象にもなりえるため、飛行場姫の戦闘に慣れていても雷撃で大破する可能性が高い。 その結果、飛行場の攻撃を避けても、あるいは彼女に勝ったと思ったらメスガキ艦にわからせられていたアケ提督もしばしば…。 火力要因としては回避を優先する場合はダズル3積みの金剛型改二2隻、道中の潜水艦対策も兼ねたい場合は伊勢型改二、資材と回避に自信がある場合は大和&武蔵が 対空CI要因には21年末に実装され、CI発動率と機銃CIによる撃墜率がブチ壊れている摩耶改二などが候補に挙がる。 ますます秋月型の立つ瀬が無くなるとか言うな 後述する作戦Bと違って装甲ゲージ持ちはいないので特効装備さえ完備していれば勝てなくもないが、海域の選択はお好みで。 作戦B 台湾方面への船団護衛を実施、敵機動部隊を 撃滅し、航路の安全を確保せよ! 作戦Aとは違い道中には潜水ヨ級flagship旗艦の潜水艦隊が2隊、後は駆逐ナ級後期型eliteが含まれたツ級やヲ級が旗艦の艦隊が出現するのだが 作戦Bのみ敵編成に駆逐ナ級後期型flagshipも含まれるようになる。当然eliteより高性能で、火力は91、雷装123…という近づくことも憚られる相手。 道中の敵潜水艦隊は、旗艦を駆逐艦にして作戦開始後全速力で上にある小島上部分まで進むようにすれば戦わなくて済む。 主力艦隊旗艦は空母棲鬼。対地装備がほぼ必須といった制約はないものの、編成は 主力:空母棲鬼(耐久470、金色装甲ゲージあり)、空母ヲ級改flagship×2(装甲ゲージあり)、重巡ネ級elite、駆逐ナ級後期型flagship×2 随伴:駆逐棲姫(耐久440)、軽巡ツ級elite、駆逐ナ級後期型flagship×4 と、作戦Aに負けず劣らずの高難易度を誇っている。 旗艦は中破にさせてしまえば攻撃不可能となるが、装甲ゲージ持ちが3隻も混ざっていることもありダメージの累積には時間を要する。 その上、この海域の空母棲鬼は戦力ゲージ半分以下の際にダメージを与えると 主力:空母棲姫(耐久540、金色装甲ゲージあり)、空母ヲ級改flagship×2(装甲ゲージあり)、重巡ネ級elite、駆逐ナ級後期型flagship×2 彼女と入れ替わる形で空母棲姫が海域を走る艤装に対して空中から出現して搭乗し、編成が差し変わるばかりか僚艦ごと完全回復する…という インチキ効果 を発動する。 当然戦闘終了寸前であっても、一から上記の編成を相手にしなければならなくなる。 空母棲鬼/姫の航空サークルは回避が極めて困難に思われがちだが、艦隊にサークルが接近したら船速を一杯ではなく5速程度で待機し その後、ある程度サークルが侵食した時点で一杯にして引き離す…という戦法で航空サークルの回避が可能となるため、慣れていれば航空を受ける可能性も低くなるかもしれない。 随伴艦隊は作戦Aと同様に駆逐棲姫が参戦し、対陸上型の戦闘ほど行動可能な範囲が狭くないため同艦隊から離れることも可能だが それでも雷撃サークルの対象になる可能性も捨てきれず、何よりしれっと駆逐ナ級後期型flagshipが編成に含まれているので、そういった点にも難易度の高さが際立つ。 相変わらずの高回避力で全艦一斉射撃すらカスダメにしてくることもあり、駆逐棲姫撃破は考えないほうがいい。 味方編成に関しては道中対潜戦闘も兼ねて伊勢型改二、雷撃のダメージに期待したい場合は特効艦である島風を駆逐艦枠に 軽巡には大淀改や、夜戦火力の高い神通改二などが候補として挙げられる。 また、高錬度の伊勢型改二の艦爆は装甲持ちの敵に対して高い効果を期待できる。道中で敵潜水艦隊をやり過ごせるならこちらを採用するのもあり。 ドロップテーブルに関しては作戦Aだと熊野、作戦Bだと高雄型…といった差異があるが 作戦Bのみようやく龍鳳に改装できる大鯨と邂逅可能となっている。余裕があれば狙ってみよう。 報酬は甲標的丙型、家具コイン200、戦略ポイント500、戦果2000 甲標的丙型は今回が初登場の装備となる。 掃討戦 詳細 ・春風船団を護衛せよ!(消費GP200) ☆10 残存する敵潜水艦を掃討し、 船団護衛作戦を完遂せよ! 出撃制限:駆逐艦1隻以上 恒例のチャンスタイム。編成はその時点での難易度で編成が決まり、増援アリの場合は 潜水ソ級elite×2、潜水ヨ級×2、潜水カ級flagship×2 と、掃討戦では初となる潜水艦隊が相手となり、戦闘終了後は神風か春風/同改が確定で邂逅する。 追記・修正はE-3-AorBを初見でS勝利出来た方がお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント
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前回の話 630 :鎮守府慰安労働:2015/01/03(土) 22 42 01 ID /45yD3go 青年が鎮守府に入り、慰安労働を行いながら早くも二週間の時が過ぎていた。 始めは鎮守府唯一の男性として訝しく思われたが、馴染んだものである。 提督のおかげでしょっ引かれることなく、彼は今、東(あずま)の仮名で呼ばれていた。 しかし慰安労働と言っても、特別なことは何もしていない。 「すいません東さん、お手を借りてもよろしいですか?」 「はいは~い、今行きますよっと」 艦娘たちの母的存在である軽空母、鳳翔に頼まれて家事をやることも日常茶飯事だった。 掃除や洗濯といった基本的な家事から、居酒屋鳳翔の皿洗いや食卓の準備にも奔走する。 本格的な料理はできないものの、鳳翔一人でやるよりも確実に店の回転は速くなっていた。 人当たりの良さもあって、料理以外のほとんどの仕事をこなしている。 当然、利用する艦娘たちと顔を会わせる機会にも恵まれ、一躍顔の広い存在となった。 「むむ、やりますね東さん! でも負けませんよ!」 「何の! 遊びに限っては負けるわけにはいかないな! これでどうだ!?」 「ぐわー、やられたー!」 もとより遊び好きな性格が功を奏し、夜更けまで夕張と遊び倒すことも少なくなかった。 卓上ゲームに身体を使ったゲーム、時にはテレビゲームでも互いに高め合った。 没頭しすぎた結果、二人して寝坊したことも仲の良さに一入なことは疑う余地もない。 時には大人数でも遊びまわり、居酒屋鳳翔とは別の層の友人関係も出来上がっていた。 「つまり複縦陣とは、二方向からの同時攻撃によって攻撃でも防御でも利点があるのです」 「ふむふむ、なるほどね。じゃあ輪形陣は?」 「主力たる空母を守り、戦力として維持することが最大の利点と言えるでしょう」 また興味があるという理由で、不知火や神通を始めとする座学に参加することもあった。 東自身が戦場に出ることもなければ、艦隊の指揮を執ることがあるはずもない。 しかしその姿勢は高く評価され、こちらも多くの艦娘との信頼関係を築く結果となった。 時には夕張方面で知り合った、天龍のような攻めっ気の強い艦娘に座学の重要性を説く。 それらの関係が築けたことも、ひとえに鎮守府を率いる提督の機転があればこそだった。 「いやはや、女だてらに見上げた人だって、ここの提督さんは」 東は割り振られた部屋に戻り、ベッドに身を投げながら呟いた。 631 :鎮守府慰安労働:2015/01/03(土) 22 42 36 ID /45yD3go 東が鎮守府に入ったあの日、普通ならば軍法会議に掛けられてもおかしくはなかった。 だが大和の口添えもあり、提督は第一艦隊を指揮して鎮守府近海で演習を執り行った。 その際に砲撃が“誤って”民家を吹き飛ばし、一名が消息不明という状態を作ったのだ。 これにより書籍上、東は一時的に行方不明となり罰せられることはない。 こうして上層部の目を欺きながらも、艦娘たちには鎮守府に来た手伝いとして通している。 無論演習で吹っ飛ばした民家は掘立小屋のような家で誰もいない、提督の偽装である。 ほぼ完璧な偽装により、東の存在は誰にも怪しまれないまま、すっかり溶け込んでいた。 しかしふと東の口から、唯一にして最大の不安がこぼれだす。 「みんなガード緩すぎ……」 「東さ~ん? お風呂が空きましたよ~」 「は~い、今行きま~す」 呼びに来てくれた夕張の声にドア越しに応え、タオルと寝巻を手に風呂へと足を向ける。 提督から、全艦娘の入渠が終わった後ならば露天風呂を使用する許可が下りていたためだ。 もし空いていればという様相だったが、既に入渠スケジュールには東が組み込まれている。 心遣いも踏まえて今の生活には満足していたのだが、表情は脱衣場で一転した。 使い方が悪いわけでもなく、脱衣場がやたらと汚されているわけではない。 誰もが後に使う者のことを考えて使ってはいるのだが、それと別の意味で意識が低いのだ。 ロッカーを見れば着替えを忘れていたり、洗濯物の一番上に下着を見せつけるようにおいていたり。 無理もないことだが、男性に対する意識が異常なまでに低いことが東の最大の悩みだった。 東とて一男性、強すぎる刺激を受け流しながら湯につかる。 「慰安労働だけで助けてもらえるのはありがたいんだが、脱衣場の環境がきつすぎるな」 二週間も鎮守府での生活を続けていれば、脱衣場の環境を目にしてきた期間も長い。 一般的な下着だけではなく、艦娘たちの生活スペースである以上それにとどまらない。 潜水艦娘たちのスクール水着、島風のZ旗を模した下着、明石や大淀の変則スカート。 一般的な下着であっても、夜戦を意識した川内の黒いパンツや改二を迎えた榛名の縞パン。 特徴的な服を身に付けた艦娘が揃う鎮守府は、ファッションショーばりの品ぞろえだった。 「――――!! ……最悪……でも催さない方が無理だよな、みんなすっげー美人だし」 632 :鎮守府慰安労働:2015/01/03(土) 22 43 06 ID /45yD3go 思わず催してきた東の主砲は、気付けば湯船の中で徐々に仰角を上げてきていた。 衣類で興奮するタイプではないと言い聞かせながらも、周囲の艦娘は美女揃いと来ている。 そんな彼女らが身に付けていた服が、無防備に転がっていれば気にならないはずがない。 誰もいないうちに鎮めてしまおうか――。 「いや~、遅くなってしまった。ついてないのう、遠征で敵とかち合うとは」 「うわぁお! な、なな、おい! ちょっと待てっ!」 そんな思考を勢いよく吹き飛ばすように、元気よく飛び込んできたのは浦風だった。 まとめている青髪を下ろした姿は、普段の快活さを抑えた大人びた雰囲気を醸し出す。 大和とは一味違った体躯の持ち主ながら、メリハリのある身体つきは素晴らしいの一言。 制止を呼びかけた東も思わず見惚れかけるほどで、駆逐艦とは思えない身体である。 一方で浦風は涼しい顔で、慌てている東が不自然と言わんばかりに小首を傾げる。 鎖骨から下はバスタオルを巻いているものの、その程度で抑えられるほどの身体ではない。 軽巡洋艦、下手をすれば重巡洋艦に迫るほどの胸部装甲は触れずして東をけん制し続けた。 「おっと。確かお手伝いさんの東じゃったか? そうか、あんたの入浴時間じゃったか」 「そうだよ! 今日分の入渠スケジュールは消化したんじゃなかったのか!?」 「遠征先で敵水雷戦隊と鉢合わせて、一戦交えたんじゃ。結果的に中破してしまってのう」 「中破? 浦風の練度で珍しい……じゃなくて! 俺が入ってるんだから少し待てよ!」 「そんな気にせんでええ。うちが勝手に入るだけじゃけえ、東ものんびりせえや」 東の意思は半分も伝わらないまま、浦風は椅子に腰掛けてシャワーを浴び始めてしまった。 湯を浴び、下ろされた髪の毛は肌に張り付き、きめ細やかさを見せつけるように光る。 潤った肌は水玉をまとって輝き、透明感のある素肌には目を吸い寄せられずにいられない。 肌のきめ細やかさ、髪の美しさ、スタイルの良さ、東は思わず何も言えずに見惚れていた。 しかし我に返ってみれば困ったもので、東の息子は浦風の登場で仰角をさらに増していた。 主砲どころか連装高角砲ばりの仰角を誇っており、固くなり、屹立してしまっている。 もし浦風にちらっとでも見られてしまえば、どう頑張っても言い逃れはできない。 今一度、東は深く湯船に浸かり、どうにかして抜け出す策を練る以外に何もできなかった。 だからといって、浦風に見惚れてしまった東の頭が正常に働くはずもない。 考えを巡らせようと目を閉じてみても、バスタオル姿の青髪の美少女の姿だけ。 633 :鎮守府慰安労働:2015/01/03(土) 22 43 36 ID /45yD3go その時、シャワーが止まる音に続けて石畳を歩いてくる足音が響く。 一通り身体を洗い終わった浦風は、東を気に掛けることもなく湯船に浸かった。 あろうことか、息子の屹立がばれないかとびくびくしている東の真横だ。 「おい浦風、近いぞ」 「少しばかり聞きたいことがあるんじゃ、ええか?」 「い、いい、けど……?」 「無理やり女に犯されても男は感じる、というのは本当じゃろか?」 一瞬、二人はおろか露天風呂全体の空気が凍り付いたのを同時に感じた。 突拍子もないタイミングで聞くにしては、あまりにインパクトのありすぎる質問。 挙句、艦娘といえど年頃の娘が年頃の男性に投げ掛ける質問とはいいがたいものだった。 詰まりそうな呼吸を懸命に再開し、東は隣で視線を湯に落としている浦風に口を開く。 「本当か、ということは誰かから聞いた話か?」 「青葉から聞いた話じゃ」 「あのパパラッチ、今度会ったらシメてやる」 今も二人に向けてカメラを構え、にやけている様子が容易に想像できてしまう。 どちらともなく視線を露天風呂中に走らせるが、不審な影や気配は見当たらない。 しかし青葉の話に興味があるのか、浦風の話題はぶれなかった。 「それで東よ、それは本当なのか?」 「いや、だから、それはだな」 「ええい、はっきりせえ! もういい、自分で確かめてやるけえの!」 「自分で!? やめろ浦風! それだけは――!」 決死の制止もむなしく、浦風は見事な体捌きとともに水中で回れ右。 滑るように湯の中に沈み込みながら、東の足の間に身体を滑り込ませた。 そのまま膝の裏に腕を差し込み、浴槽の床を蹴って身体もろとも東を大きく跳ね上げる。 日常的に鍛えられている浦風の腕力と浮力が重なり、東はいとも簡単に打ち上げられた。 あられもない姿を晒し、石畳の上で血の気の引いた表情だけを浮かべている。 もはや悲鳴を上げることもままならないのか、涙目で固まっていた。 一方の浦風は何も言わないままだが、東のソレに目を引かれて動けなくなっている。 表情こそ訝しげで何とも言えない顔をしていたが、じっと睨みつけて観察に走っていた。 695 :鎮守府慰安労働:2015/01/09(金) 02 20 42 ID 4qeWaX0k 「……ぶち硬いのう、それに熱い」 いきり立ったソレを手のひらで包み込みながら、浦風は慎重に力を込めて言葉を漏らす。 女性提督が率いる鎮守府の中では男性を見ることすら珍しく、男性器などもちろん初見だ。 東をちんぐり返しの体勢で固めながら、身体が火照るのを感じずにはいられない。 何を考えるでもなく、吸い寄せられるように浦風の顔が近付いていった。 「風呂じゃというのに凄いにおいじゃ。えっと、青葉が言うとった通りなら……はむっ」 静かに近付いた浦風は、青葉からの情報通りに東のソレをゆっくりとくわこんでいく。 風呂場だというのに強烈なにおいを発するソレを、不思議なことに嫌とは思わなかった。 むしろ硬く反り、充血し、細かく震えるのが口の中に伝わるたびに愛おしさすら覚える。 徐々に慣れていく中で、既に経験があるのかと思えるほど積極的に舌を絡めていく。 一方でどうしていいか分からないのは東の方なのは言うまでもない。 二週間同じ屋根の下で暮らしてきた美少女が、風呂に入ってきたと思ったのも束の間。 話を聞くどころか、逆レイプも同然の勢いで自分のソレを深くくわえ込んでいるのだ。 女性経験すらない東にとっては天変地異にも等しく、今にものぼせてしまいそうだった。 いや、そうでなくとも今の光景を前にして正常な思考などもてようはずもない。 「浦風、頼む、話を聞いてくれ」 「んん、ふぁ? なんら、ひもひよふふぁいふぁ?」 ちんぐり返しで固められながら、くわえたまま返事をされるだけで快楽が身体の芯に響く。 熱い熱い美少女の口で、日常では体験できない粘液に包まれながら舐められる感覚。 気持ちよくないはずもなく、押し退けようにも力を込めることすら妨げられていた。 浦風の頭を押して突き放そうとしても、ただ喘ぎながら叶わない抵抗をする獲物の様だ。 しかしそれも無理はなく、浦風の口技は高い技術で東に襲い掛かっていたのだから。 舌を尖らせながら鈴口を穿いたり、広げながら亀頭全体をざらついた舌で舐め回したり。 カリ首を抉れば意思に関係なく東の腰が跳ね、口をすぼめては我慢汁が吸い出される。 あらゆる手段、あらゆる場所を舐め回されるうちに東の意識はもうろうとし始めていた くぐもった水音と懸命に奉仕しながらの上目遣いなど、理性ごと吸い出されそうなほど。 「んむ、れろ、はむ、んん~む、ん、気持ちいいかの? 東、目が点じゃのう」 「うらか、ぜ、浦風……」 「もううちのことで名前が一杯じゃのう。じゃがうちも東のことは嫌いではないけえの」 「浦風、離し、て」 うわ言のように繰り返される自分の名前に、気を良くした浦風の行為はさらに加速する。 舐めるよりも前に、湯船から身を乗り出して東を持ち上げていた体勢から一転。 ちんぐり返しで固め、上から石畳に押し付けてわずかな抵抗も許さなくなっていた。 696 :鎮守府慰安労働:2015/01/09(金) 02 21 16 ID 4qeWaX0k 舌を使わずに頭を上下させながら、喉全体で締め付けながらソレを吸い上げていく。 マウントポジションに近い状態だからこそ、抵抗をされても気になることはない。 むしろ今の東に抵抗らしい抵抗などできるはずもなく、一方的に浦風の責めが続いた。 瞬間、浦風の口の中で東のソレが唐突に硬さを増して膨張した。 同時に今までにないほど大きく東の腰が跳ね、浦風の喉にソレが突き立てられた。 「んんっ!? ぷあっ、な、何を――!?」 「俺、もう、だめ、ごめん、我慢が、無理……!」 「んぶっ、んんっ! んう、んんうううう~!!」 東の言葉から間髪入れず、浦風の口内に精液が迸った。 凄まじい勢いの射精によって、精液で一杯になって溢れかえるほどだった。 あまりの勢いに驚くことも忘れ、口の中に留めることもできずに流れ込んでいく。 二度、三度と東の腰が跳ねるたびに飛び出す精液に堪えきれずに思わず浦風は口を離した。 「お、おどりゃ、どれだけ出せば気が済むんじゃ!」 「うっ、あっ、ぐっ! ああっ!」 「出すなと言うとる、のに! うひゃあ、顔にまで!」 「も、もう、無理……」 「東? こら東、起きろ! 東ぁ!」 口の中はおろか、顔から身体にまで精液をかけられながら声を上げる浦風。 その前では東がすっかりのぼせあがったおかげで、眠るように気を失ってしまっていた。 パニック状態になった浦風は誰かを呼ぶこともできず、ひとまず二人で脱衣所に向かう。 互いにバスタオルで身を包み、誰にも見つからないように浦風の部屋に向かった。 東が目を覚ましたのは、浦風が今にも寝ようかというタイミングになってからだった。 しかし東のご機嫌はななめで、ベッドに腰掛けた東の前で浦風は正座している。 「浦風。何したか分かってるんだろうな?」 「す、すまん。青葉の情報に流されてしまってのう」 「あいつは今度〆る。ひとまずだ、今日のことは他言無用だ、お前も気の迷いだろう」 「いや、じゃが待ってくれ。うちの東に対する気持ちは本物じゃ」 「そうだな、嫌いじゃないって言ってはくれたからな。とりあえず助かった」 反省が見られたことから、東は話を切り上げながら腰を上げる。 翌日には鎮守府の手伝いも残っていれば、浦風にもこなすべき予定が詰まっていた。 その時、部屋を後にしようとした東の背中に浦風の声が響く。 「東。うち、お前のこと――」 「あぁ、嫌いじゃないんだろう? 反省してるんならそれでいいや」 「いや、嫌いじゃないというか」 「なんだ?」 「あんたのような人間、うちは好きじゃよ。おやすみ」 「ば、馬鹿。さっさと寝ろ!」 思わぬ浦風の言葉に、再び顔を赤くしながら東は自分の部屋に戻った。 その夜、好きという言葉がいつまでも脳裏に残って眠れなかったのは決して東だけではない。 しかし翌日からまた苦労話が募ることに、東はまだ気づけていなかった。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/